2015年8月24日月曜日

麦とホルモン

この週末はクラブ2の皆さんに呼ばれてキャンプに参加。
小川山で泊まるということだったけど、やっぱり瑞牆で登りたいので、
多少ワガママを言って、土曜日は瑞牆のマルチに行くことになった。
そのさん、えりさんが乗ってくれたので、
まだ行ったことのない「一粒の麦」(5.10c 6p)を登ることに。

土曜日の朝、えりさんと落ち合って瑞牆へ。
現地集合でそのさんが来て、天気がもってくれるか心配だったけど、出発。
最近不安定な空模様に一喜一憂していますが、
今回は曇天の割に岩は乾いているようだったので、ちょっと期待。
十一面奥壁はシロクマのコルへの道から分かれてすぐのところにあった。

先行パーティーがいたので、取りつきでちょっとゆっくりしてから登りだした。
1P目は草の生えた5.9のアプローチ的なピッチ。短いクラックが意外に悪め。
2P目がルートのハイライトの一つで、30メートルの大フレーク(5.10b)。
イメージしていたより割れ目が太いので、ジャミングの効きは微妙で、
終始ワイドハンドか、いっそ思い切ってレイバックという感じ。
スタンスが多いのでそのサイズにしてはずっと快適だった。
「ここが一番の核心?」とか思っていたけど、二人とも結構すんなり抜けてきた。

3P目はピナクル状の岩を登ってチムニーを下る5.6で、ロープの流れがちょっと悪かった。
これはフォロワーの方が怖いかも。階段みたいで簡単だけど。
ルンゼの中に下り立ってから、オリジナルの4P目は左手のチムニーを登っているけど、
明らかに弱点なルンゼに惹かれてそっちを登ってしまった。
結果、崩れそうな部分があって気持ち悪かった。あちゃー。
ルンゼを上端まで詰めてピッチを切ったけど、
これはルンゼ内の木で切るのが正解らしい。
もうちょっとトポの情報をよく読んでおくべきだったか。

5P目の太いダブルクラック(10a)を登ったら、
そこはあの凶悪なハネカクシのたくさんいるテラスだった。
セカンドで登ってきたそのさんと二人、苦悶の叫びをあげて戦った。やつらは手強い。
ビレイしていて足下を見たら、片足に3匹ハネカクシが這っていて、
それぞれシューズの中に潜り込もうとしている絵なんて、ゾッとしませんか。

最終ピッチは短いフェースから長いコーナークラックに入る10c。
出だしのフェース部分でホールドが見えず、ちょっと行きつ戻りつして、
よく見えないガバを見つけて一気に越えた。
ハンドサイズのカムを突っ込んでコーナーに入ってしまえば、あとはご褒美。
どこに手を入れてもハンドジャムがバシバシ効く綺麗なコーナーだった。
気持ちのいいクライミングを終えて頂上に突き上げる。
うーん、いいルートでした。
フォローの二人はなかなかしんどかった模様。
そのさん撮影 奮闘を物語る表情

ずっと曇ったり晴れたりを繰り返していたけど、頂上に抜けた時にはちょうど晴れた。
知っていたけど、尾根の反対側すぐ近くに見える矢立岩は良かった。
想定よりも早く登れてしまったけど、どのピッチも長さがあって、
ピッチ数は多くないものの充実したいいルートだった。
登りに来てよかった。

下山してからナナーズ経由で小川山へ。
小川山で泊まるなんて何年振りだろう・・・?
夜は大量のホルモン焼きだと聞いていたのに、
ナナーズで自制がきかず唐揚げを買って食ってしまったので、かなり食べ過ぎた。
ホルモンも美味しくいただいたけど。

今日はボルダ―でエンクラする予定だったのだけど、朝から雨。
降ったりやんだりだけどあまり乾きそうにないし、
そもそも皆昨晩飲み食いしすぎて少々ぐったり。
ということで、昼過ぎまでだらだらして、温泉に入って、そばを食べて解散。
完全にただの観光客でした。

という感じで、数字的にはかなり脱力した週末でした。
でも、多少ワガママというか無理を言って「一粒の麦」を登ってみてよかった。
知らないルートへは、むしろ積極的に行くべきですな。

それにしても、いい加減天気安定しないかな・・・

2015年8月19日水曜日

鉄腕

前線の影響で数日雨でしたが、昨日も瑞牆に行ってきました。
マルボーさんらが新しいエリアへ行くというので、ご一緒させてもらうことに。
が、長坂で高速を下りたら雨、行く先は真っ暗。おいおいおい。
でも連絡はつかないので、最悪、岩探しでもいいかということで瑞牆まで行った。
予想通りどん曇りで辺り一面びしょ濡れだったけど、
マルボー師匠が「Mr.スランプ」をフラッシュしてしまった話を聞いていると、ヤル気スイッチON。
急いで行っても仕方ないので、すっごく久しぶりに大橋下のボルダ―を見に行ったりして、
空が少し明るくなってきた頃にカワバタさん、案内していただくマリさんと一緒に出発。

暗ーい森の中の急坂を上っていくこと1時間弱、新エリアに到着。


アトム岩。確かに例のロボットの頭に見える。

エリアも例外なくびしょ濡れだったけど、新エリアを見て回るのは楽しい。
拓いたら面白そうなラインもいくつか見えた。
自分の岩を見る目も少しずつ変化している気がする。
エリアは摩天岩みたいに威圧的な幅の広いクラックが立ち並ぶ恐ろしげなところだった。

マルボーさんと二人「あれもいい、これもいい」と歩いて回ってから、
マリさんが「上段なら乾くかも」と言うので、「アトラス」(5.10b)を登って皆で上段へ。
「アトラス」はハングしたハンドサイズのクラックで、乾いていたら快適そう。
びしょびしょなので核心のタイトハンドがすっぽ抜けそうで怖かった。

上段にはこれまた幅の広いヤツが並んでいて、
マルボーさんもとえさんがマリさんイチオシの「Heaven's door」(5.10b)をトライし始めたので、
こちらはカワバタさんと「あかつき」(5.10d)をやってみることに。
「あかつき」は長さこそないもののハングしていて、見るからに登りにくそうな風貌。
「こういうの久しぶりだしなぁ」なんて言い訳がましく思うけど、
いつまでもそう言っているわけにもいかないので、気合を入れてトライ。
上部のワイド部分が見た目よりも窮屈で、スタックした腕を無理やりズリ上げたりして傷だらけ。
吐き出されそうになるところを何とかこらえて、OS。しんどかったー。
「10dのクラックなんて登れん」とか言いながら、カワバタさんもフラッシュ。さすがです。

既に結構やられていたけど、次に「Heaven's door」にトライ。
じゃんけんして勝ったカワバタさんがリードしていったものの、
上部のしんどそうなワイドで詰まってしまい、ロワーダウン。
選手交代してトライしてみたら、僕も大方の予想通りワイド部分で撃沈。
ワイドクラックというより、奥の深いグルーヴという感じで、
クラックがすぐ奥で閉じていてジャミングは効かないし、体も上手く入りきらない。
あまりにも体が上がっていかないので「どうすりゃいいのよ」状態だったけど、
結局、すごく基本的なことが出来ていないだけだった。
クラックを相手に、フェース登りになってしまってはダメですね。
それでもかなり一杯いっぱいになりながらなんとかハングドッグして抜けて、
カワバタさんもあっち向いたりこっち向いたりしながらフォローで登ってきた。
「これ、あかつきよりもしんどいよね」ということを話したりしたけど、
ワイドともなるとグレードはよく分からんです。
少なくとも、クレイジージャムの方が遥かに登りやすかった気がする。

取りつきに戻って、マルボー師匠に「まだまだやな」と一笑されて、撤収。
腕とか肩とか、あちこちぼろぼろ。
でも、これくらいの方がいい練習になるんでしょうな。
出来ないからと言って後回しにしていると、出来ないままになってしまうし。
自分の開拓と並行して、クラックのリハビリは続けていこう。


2015年8月15日土曜日

拍子抜け、ではない

お盆の半ばですが、今日も瑞牆に行ってきました。

今日は朝からいい天気。道も意外に乾いていて、コンディション良さげ。
珍しく不動岩の下部も乾き気味だった。雨は降らなかったのか?

今回は天気がもちそうなので、矢立から。
行ってみたら、見覚えのある手ぬぐい頭の男性が。マルボーさんでした。
実は瑞牆最難なんじゃないかと噂の「Mr.スランプ」をやりにきたらしい。
そもそもまず掃除が大変そう。がんばってください。

こちらはいつものコルまで上がって、今回から新プロジェクトにトライ開始。
岩もイワタケも乾いているので、ラッペルしながらもう一度掃除して、
「我にかえるとき」から分かれた辺りからムーヴをバラす。
上部の壁は真ん中にノーハンドで休めるレッジがあって、二つに分かれる。
下半分は粒カチが散らばるデリケートなスラブフェース。
上半分はフレーク状のホールドを繋ぐパートで、だんだん傾斜が立ってくる感じ。
どこが大核心ということもなく、レッジからレッジまでずっと似たような悪さ。
こういうタイプの方がしんどかったりするんだよな。
パッと見た感じホールドがなさそうに見える壁でも、よく観察すると結構変化していて、
微妙な傾斜も手伝って思っていたよりも簡単にムーヴができた。
12の真ん中くらいか。多分「Landmark」と似たくらい。
でもプロテクションはこっちの方が遥かに悪いので、よりしんどいルートになりそう。
とりあえずロープソロで各パートを通して登れるようにして、終了。
コンディション次第では、次回リードできるか?
イギリスで多少麻痺した感覚が戻ってこないうちに登ってしまうのが良かったりして。

弁天に移動して、大ザルがプロジェクトにトライ。
トップロープでちょっとトライしたら、「あ、今日全然だめだ」とのこと。
前回かなり頑張ってしまったので、間2日では足りなかったらしい。
ということで、リードは潔く諦めて、今回はリハーサルに専念。
最終的にトップロープでノーテンで登っていたけど、
上部のプロテクションのセットがシビアなのと、最後の最後にデッドがあることが判明。
前回クラックのパートを抜けた時には「もう登るかな」と思ったけど、
むしろここからが本題なのかもしれない。
厳しいルートだなぁ。

プロジェクトの本気トライがいつになるか分からないけど、
これからコンディションは(多分)良くなってくるので、それに期待したい。

2015年8月14日金曜日

スライドショー

やります。

帰国してもう一か月くらい経ってしまいましたが、
エッジでスライドショーをさせていただくことになりました。
8月28日(金)夜8時から。
1時間くらいを予定していますが、1年間のことをどうやって収めたものか・・・
思案中です。

詳細はこちらへ http://edgeandsofa.blogspot.jp/2015/08/blog-post.html

2015年8月12日水曜日

ツルカメと弁天

先週の土曜日(もう結構前だ)はイケダくん、うえきゅうさんと瑞牆へ。
どうせ行先を決めるのは僕なので、さてどこに行ったものか、
前回と同じところには行きたくないしな、とかワガママに考えて、
最終的にまだ行ったことのないカメ岩辺りに行ってみることに。

いつも通り染みだしている阿修羅の横をスルーして、拝月塔も通り過ぎて、カメ岩へ。
そういえば拝月塔の「雷火」(5.13a)に通っていたこともあったな。懐かしい。
カメ岩は予想通り貸切り。ちょっと奥のツル岩も同様。
クラック熱が高まっている二人のために、ツル岩の5.9のクラックをやってみたら、
これが結構登りにくくて気持ち悪かった。
あまり長くやっても仕方なさそうなので、早々にカメ岩に戻る。
東面の「カメ岩クラック」(5.10a)が快適そうなので、それで仕切り直し。
出だしにちょっと尻込みする核心があるものの、クラック自体は綺麗に割れていてそれなりだった。
傾斜は緩いけどきちんとジャムしないと登れないので、クラックの練習には良いかも。
イケダくんは念入りなリハーサルの後、リードしていた。
初のクラックのリードが10aだし、まあ上々でしょう。
折角なので、うえきゅうさんにフォローで登ってもらって軽いマルチ気分に。
合間に右隣の「風道」(5.11c)も登った。短しい感じだったけど、OS。
ツル岩に13aとかハードなルートもあったのだけど、見た目にあまりそそられなかったので、
最後に隠れた名作だと噂の「亀甲めぐり」(5.10d)をやってみたら、
出だしが理不尽なくらい悪くてビビった。
ライン取りがユニークでたしかに面白いんだけど、ボルトが多すぎる気もする。
上部のトラバース部分はフォロワー泣かせでした。
二人とも思った以上にぼろぼろになって上がってきた。
なんか、しごきみたいになってしまいましたねゴメンナサイ。
カメ岩クラックをリードするイケダくん


今日は大ザル、いまし監督と不動沢へ。
なんだかまたもや天気が怪しい気がしたけど、
最近はもうとにかく行ってみるというスタンスになったので、特に迷いなく弁天へ。
歩きながら、監督からアメリカツアーの話を聞いた。
海外の行ったことのない岩場の話はやはり面白い。
今回は大ザル優先ということでゆっくり時間をかけてやってもらって、傍らでせっせと撮影準備。
日本の山の中でルートを撮るのは難しいのであります。
大ザルがトップロープでアップして、長く休んでからいよいよ本気トライ。



6月にトライしたときに落ちた核心を越え、最高到達点を更新。
そのまま右のフレークに突っ込んでいって、「お、これは登るか!?」と思ったら、


最後の核心手前でかなり派手にフォール。さすがにヒヤッとした。
フレークにセットしたナッツががっつり食い込んで問題なく止まった。
かなりパンプしていた様子。中間の核心をこなして、そのまま登れるほど甘くはないようです。
ともあれ登れそうな感じになってきたし、落ちても止まることは分かったので収穫あり。
食い込んだナッツの回収は大変だったけど。

まだ天気がもつようなので、矢立へ。
あまり時間はなさそうだったので、今回も掃除だけにした。

ムーヴをやってみるまで分からないけど、プロテクションはこれまでで一番悪い気がする。
スラブの真ん中にぽつんとナッツが1個入っているのを見てワクワクするような僕の頭は、
きっと間違いなく自他共に認めるくらいにオカシイのだろうけど、
実はそれが絶対に譲れないところでもあるわけで。
時間いっぱい掃除して、プロテクションも再度検討して、次回からはムーヴの練習に移れそう。

大ザルのプロジェクトはいよいよ佳境ですが、
こちらもこちらで早く勝負したくて仕方ありません。

2015年8月7日金曜日

新ライン

昨日はまた大ザルと二人で不動沢へ行った。
朝、駐車場で社長とばったり。ほとんど1年ぶり。お元気そうでよかった。

駐車場を出た時は晴れていたのに、矢立岩に着くころには完全に曇ってしまって、
いつ雷がごろごろ言い始めてもおかしくない空模様に。
今年の夏はあまり天気が良くないのか?とか思ったけど、よく考えればこれが普通かも。

今回は、「我にかえるとき」の左のフェースを掃除。
右のカンテへは出ず、傾斜のきついスラブフェースを登っていくライン。
最上部がイワタケだらけなので、ブラッシングに結構時間がかかった。
「我にかえるとき」から分かれてすぐのパートと、最後の薄いフレークを使うパートが悪そう。
ざっとホールドを探して磨いてみた感じ、12後半から13前半のどこかになりそう。
やってみたら意外と易しいかもしれないし、ずっと難しいかもしれない。
花崗岩は見た目からグレードを概算するのが難しいですな。
とにかく、ホールドはしっかり続いているし、形状もあるので、
それなりに弱点(?)をついた自然なルートになりそうだった。

が、問題はプロテクション。出来ることなら、ボルトなしで登りたいし。
前々からこの壁を観察しながら「もしかしてスカイフックとか?」と思っていたけど、
今回家にあるスモールナッツ類を持ってきてみたら、
一つ目の核心をこなしたところにあるポケットに中間サイズが入るのを発見。
凄いな、DMMのオフセットナッツ。なかなかのスグレモノです。
それが入ったところで、ものすごいランナイトを強いられるのは変わらないけど、
グラウンドしない程度ならむしろがんがんランナウトするスタイルなので、
ボルトは打たずオールナチュラルなルートにすることに決定。
今度のルートは、かなり攻めます。

掃除を終えて、弁天岩に移動。
既に八ヶ岳は見えないし、近くで雷が鳴り始めていたので、しばし待機。
二人で「回復してくれー」と祈っていたら、それに応えるように雷雨がきた。
結局大ザルは今回トライできず。
本気のトライはまた来週です。

これまで毎年夏は瑞牆の奥地での開拓にあてて、
年に1本、もしくは数年で1本というゆっくりしたペースでやってきましたが、
今シーズンはもっとペースを上げて行けそうです。

とかなんとか思っていたら、帰りに植樹祭会場でジャンボさんに会って、
新しいルートの話をあれこれ聞いてしまい、そっちにもちょっと心が動いています。
あー、欲張りな性格だとこういう時に困る。