2015年7月30日木曜日

ひとつめ

今週の初めは、エッジで数年ぶりにセットの手伝いをした。
人工壁の調子が良くない上に、セットなんて本当に久しぶりなので心配だったけど、
作った課題はそれなりに良かったようなので少し安心。
それにしたって、如何せんジムでのグレード感覚が鈍っているので、
こりゃあジムにあるテープ課題を片っ端から登ってみる必要があるな、なんて思ったりもした。
エッジの新しい壁は、とにかく絶妙な傾斜で面白い。
これから楽しみです。

今日は大ザルと瑞牆へ。
天気が思わしくなくて、下手したらすぐにでも降ってきそうな様子だったので、
雲行きを窺いながら最初に弁天岩へ。
昨晩あたり雨が降ったのか、森の中はじとじと。クラックも濡れている模様。
コンディションが見るからに悪いので、大ザルは次回のためにトップロープで何度も練習していた。
大ザルがこのプロジェクトを初登したら、自分がフォローで登るのか、とか考えると、
それ相応の覚悟が要るように見えた。

谷の対面にある摩天岩ですら霞んで見えるくらいの天気だったけど、
とりあえずまだ雨は降ってこないようなので、矢立岩に移動。
取りつきは湿気ぽいけど壁は乾いていたので、フィックスを登ってプロジェクトの核心部からトライ。
弁天岩や取りつきのコルは風が通ってそれなりに涼しいのに、
このルートのある壁はほぼ一日中日向で、不思議と風も抜けないようなので、ものすごく暑い。
汗だくになりながらユマールして、中間部までのプロテクションを確認して、
ムーヴをおさらいしようとしたら、核心の出だしが分からなくなった。
悪めのコンディションも手伝って、ムーヴをもう一度作り直すのにかなり時間がかかった。
結局、前回とは全く違うムーヴで確定して、続く最上部も何度も練習。
取りつきに戻ってから「こんな暑くてヌメヌメな日に登れんだろ」なんて諦めかけたけど、
危険この上ないボールドなルートというわけではないし、悪い部分はボルトだし、
やってみたら押し切れるかも、と思い直してリードでトライすることにした。

5.9のコーナークラックの取りつきから右のフェースへ出て、水平クラックにカムを固め取り。
5.10後半くらいのフェースをランナウトしながら登って、巨大な水晶穴にまたカムを固め取り。
すぐ上のレッジにマントルしてから右にトラバースし、カンテに出てからが核心。
トップまで10メートル弱で、ボルトは2本打ってあるけど、その間ずっと悪くほとんど止まれない。
見た目よりも傾斜のない丸いカンテに虫みたいにひっついてちまちま登る、地味でしんどい登り。
ありがたいことに、この時になったら空が曇って少しだけ涼しくなった。
日向のままだったら手がヌメるかシューズが負けるかして落ちていたかも。
Landmarkを登った時みたいに、傾斜に似合わない声を上げながらなんとか登り切った。
ムーヴ作りに時間をかけたので特別滞りはなかったけれど、シビアなハイステップがあったり、
カンテの向こうのよく見えないホールドを探ったりと、かなりしんどく感じた。
こんな感じのライン

壁の長さはおおよそ30メートルだけど、ラインが蛇行しているので実質40近いかも。
プロテクションはカム4個とヌンチャク2本。ミニマムです。

このラインは、昨年夏にLandmarkを登った後スペインへ出発する直前に磨いたものだった。
その際にボルトは打ち終えて、ムーヴも大体バラして、
あとは登るだけという状態になって、出国の日になってしまった。
そのタイミングを恨めしく思いはしなかったけれど、
知らない世界に驚嘆している最中も、自分のプロジェクトのことは頭を離れないもので、
だからといって限界グレードを登るときのように思いつめることもなく、ただ単に楽しみだった。
帰ってきて、不動沢を歩き、このラインに再開するのが、ただ楽しみだった。
非常に濃い10カ月を間に挟んでひとまず完結したこのルートには、
ちょっと変わった静かな感慨を覚えたのでした。

ほぼ1年経ってもこの場所は変わらない。静かで、奇妙で、美しい。
それを見上げる自分はどうなんだろう。
変わったんだろうか、変わらないんだろうか。
どちらにしたって僕は、このラインを見出した時には知らなかったことを、今は沢山知っている。

コンディションにかなり左右されると思うけど、グレードは一応5.13a PD。
ルート名は「我にかえるとき」にしました。

楽しみだったルートがひとつ終わったけど、まだあと3本ある。
まだまだ通います。

2015年7月26日日曜日

地獄にて

夏バテなんてものにはもともと無縁でしたが、
今年は本気でバテるんじゃないかというくらい、暑さで参っております。

昨日はまたイケダくんと瑞牆へ。
先週のカサメリの混雑に嫌気がさしたので、今週はクラックを登りに行くことに。
例によってどこに行くかまた迷った。
で、まだ登りに行ったことのないクラック地獄に行ってみることに。
駐車場でうえきゅうさん、クボタさんと落ち合って、
途中入るところを間違えたりしながら地獄エリアへ。
メインのクラックは既に先客ありだったので、
ちょっと上がったところにある奥地獄とかリアス式エリアで登る。
手始めに奥地獄のKクラック(5.9)とIクラック(5.10b)を登ってみたけど、どちらも短くてちょっと微妙。
他の3人がトップロープで登って、クボタさんはKクラックをリードでも登って、
リアス式エリアへ移動。

ここは新しいエリアで、まだまだ開拓中の模様。
フィックスロープが数本垂れ下がっていた。
エリア右端のジャイアント・ジャム・サンド(5.10a)が良さげなので、まずそれから。
イケダくんが「名前だけでお腹いっぱいですわ」とかよく分からんことを言っていた。
このルートはシンハンドからハンド、最後はフィストになって、
途中少しだけオフィズスっぽい動きも出てきて、長さの割に盛りだくさんで面白かった。
顔は真剣

3人がトップロープでやっている間、こちらは対面にあるHeaven(5.12c)にトライ。
一応双眼鏡で見たりしてOSを狙った見たけど、下部のクラックからいきなりテンション。
今シーズン(シーズンじゃないけど)まだトライした人がいないようで、
ところどころ蜘蛛の巣が残っていた。
クラックが一度途切れたところのフェースムーヴが核心ということだったけど、
すっかりクラックを忘れてしまった僕には上部の右上クラックの方が悪かった。
手も足もパンパンで、もうほとんどカムごとに各駅停車。うががが。
全体的に、極端に難しいムーヴはなく、ストレニアスな感じ。
ギアのサイズ感を忘れてしまったので、セットにいちいち手間取ってしまうのが難点。
他でもうちょっとクラックを登りこんでから、乾燥した日にトライしに来よう。
右にはプロジェクトがあるらしい

その後は日没前に地獄エリアでオリジナル1P目(5.9)とB1フィンガー(5.11a)を登って終了。
オリジナルはジャミングがいまいち効かないコーナーでグレードの割に登りにくかった。
B1フィンガーはこじんまりした見た目に反して厳しかった。
如何にもジャミングばしばしな名前なのに、実際は浅いフィンガーで耐えるルートでしんどかった。
これはなんとかOSしたけど、やっぱりいろいろ抜けてしまっているなと感じた。
お調子者イケダくんをいじめるよりも自分のリハビリを頑張らないといけないかも。

当分は自分のルートの開拓を優先しますが、合間を見て既成ルートを登りこむのも大事。
時間があるうちにいろいろ回ってみようかな。

写真はうえきゅうさんからいただきました。ありがとうございます。

2015年7月20日月曜日

再開

台風がちょっとひっかかったこの週末は、瑞牆に行ってきました。
約一年ぶり。やっぱりホームは落ち着きますね。

昨日はロープをやりたいイケダくんとあれこれ考えた挙句にカサメリへ。
コセロックの方まで見に行ってみたものの、ほとんど濡れている。
乾いたルートにはクライマーが鈴なり。
こりゃダメだということで、割と空いているモツランドに戻った。
たぬき(5.10a)とかでアップして、オリーブ(5.11c)やめんたいこ(5.11b)も登った。
濡れているモツクラック(5.8)にトップロープを張ってイケダくんをしごいていたら、
小雨が降ったりして岩が濡れてしまったらしく、
あとからあとからクライマーが来るわ来るわ。
あっという間に大混雑。まるで鳳来か二子山みたい。
すっかりやる気がなくなったしそもそもやるものもほとんどないので、
プラチナム(5.11c)をやってるイケダくんのビレイヤーと化した。
イケダくんはワンテンまで持ち込んで、なぜか指の甲側から出血して満足げ。次は登るか?
混みあった岩場にいるのが嫌なので、早めに引き上げて、
会場エリアに行って易しめのボルダ―をちょっとだけ登って終了。
テンション低めだったけど、大黒岩で久しぶりに登ったら、
瑞牆らしいポケットだらけの高いスラブに癒された。
最強の5級、瑞牆レイバック

ところで、カサメリのいくつかのルートはオールナチュラルで登れる気がする。NDDとか。
まあ、だからといって特にそれをやりに行くつもりはないので、
カサメリに行って退屈したときに思い出したらやってみようか。

今日は大ザルと矢立、弁天へ。
屏風岩は人がいたけれど、不動滝を過ぎたらクライマーはほぼゼロ。
まあ雨の後だし、そんなコンディションで不動沢に来る人は少ないか。
不動滝は水量多めで迫力を増していた

最初に矢立へ行って、開拓を再開。
去年スペインへ出発する前に掃除してボルトを打ったラインを掃除しなおした。
もっと汚くなっているかと思ったけど、意外とそのままだった。
ひととおりブラッシングして、それからロープソロでトライ。
中間部まではほぼ問題なく登れた。あっても11の真ん中くらい。
かなりランナウトするけれど、プロテクションはどれもいいのでそれも問題なし。
やはり問題はカンテに出てからのパート。
もわっとした丸いダブルカンテが結構デリケートで、ほとんどムーヴを作り直した。
バラしてみると、見た目よりはまだ簡単。それでもしんどいけど。
直前のレッジで大レスト出来るけど、核心は長くてほぼ止まれないので疲れそう。
13aか、あってもbか。もしかしたらもっと下かも。
コンディションが良ければ次回リードでトライしてみるかな。

その後は弁天に移動して、大ザルのプロジェクトに付き合う。
お疲れ気味の大ザルは「しんどい」と言いながらも、
トップロープでクラックのパートを練習してそれなりに好感触なようだった。
それにしても痛そうなクラックだ。

本気トライはまた今度、ということで少し早目に終了。
さて帰りますか、と歩き出したら、恐ろしいものを発見。
弁天岩北面のフレークルート(5.8)が完全に崩壊していた。
顕著なフレークが根こそぎ崩れ落ちたらしく、跡形もなし。
大ザルが先月来たときは崩れていなかったそうなので、ここ1か月ほどのことらしい。
こんなこともあるんだな。ちょっとぞっとする。
道がつぶれてしまったので、少しだけ藪を漕いで崩壊跡を通過、登山道へ合流した。
弁天岩へ登りに行く人はご注意を。


2015年7月17日金曜日

Peak District 6

7/8(水) 『買い物』
ツアーに行くと毎回そうだが、だんだん起きるのが遅くなってくる。
今日はレスト日だからいいけど。
午前中は読書とシャワー。小雨が降り続いていた。
あまりゆっくりしていてもいけないので、2時前くらいに出掛け、Outside Cafeで通信。
1時間無料のWiFiがなぜか30分で切れた。前にも一度あったが何なのかこれは。
ということで、お茶の店は現地で探すことにして、電車でシェフィールドへ。
雨の中歩き回ってみたが、これが全く見当たらない。
思うに、日本の町中に米屋が見当たらないの同じようなものか。
手打ちそばが食べれてもなかなか打ってないのと同じか。
結局自然食品の店で目についた紅茶を山ほど買って帰った。
ハザーセージに止まる鈍行が1時間に1本なので、駅でかなり待つことになった。
思っていたより大荷物になってしまったが、まあ軽いので大丈夫だろう。
食材も買いだして、明日からラストスパート。
しかし、さてどこで何をやろうか。
市庁舎前

日本食のレストランがあった。「Rikishi」でも「Sekitori」でもなく、「Sumo San」

7/9(木) 『突然』
Butbageの名作を巡ってからCowperstoneに行く予定で出発。
久しぶりに朝から気持ちよく晴れ、気温は低めで風がある。ちょうどいいコンディションだった。
順路的に、まずSouthから周り、Quarryでアップした後、
Pebble Mill E5/6bのOSを狙ったが、下部のスラブで一歩が思いきれず下りた。
2回目でさらっと登れた。
Pebble Mill

いいルート

The Boggart E2/6bなども登り、Northに移動してThe Sentinel E2/5bもOS。
非常に気持ちがいいが、見た目ほど単純ではなくて面白かった。
Southのメインエリア。真ん中の壁の右クラックがThe Boggart

The Sentinel

そしてThe Sphinx V7にトライしたところ、核心で落ちて片足で着地、右足首をやってしまった。
斜めの下地にサブマットは危険すぎたか。明らかに判断ミスだった模様。
歩くことは一応できるが、つま先を上げる方向に曲げると痛むので、
右足だけつま先立ちでヨロヨロとしか歩けない。
しばらく休んでから引き上げ、その後は安静にしているが、今日だけでは何とも言えない。
少なくとも明日は登れないだろう。

ラストスパートをかけるつもりが、一瞬で終わってしまった。
ツアー前半でなくてよかったとはいえ、不覚。悔やむばかり。
読書三昧か・・・

7/10(金) 『静』
足首の具合は一晩でだいぶ良くなり、角度に気をつければ問題なく歩けるようになった。
捻挫が軽めで助かった。
天気は良く、少し暑いくらいだったが、大事を取って強制レスト。当然だろう。
テントの中は暑くて居られないし、
近くにあったテーブルは昨日来た嵐のように五月蝿い学生グループが動かしてしまったので、
午前中は読書を諦めてハザーセージに出掛けた。
カフェで少し通信し、恐らく最後ということで少し贅沢して、Outsideで土産を買った。

今日は花粉症が酷い日だった。
農場の中の抜けるアヒルの糞だらけの道も、これで最後か。
道は道で、一つの思い出になる。
キャンプ場に戻ってからはひたすらに読書。おかげでFull of Myselfは3/5くらい読み終えた。
ホテルや飛行機で読んでいたら帰るまでに終わりそうな勢いだが、さすがにそれはないか。
静かに静かにしていたおかげで足首はほとんど痛まなくなった。
明日はStanageで楽しく最終日を過ごすとしよう。

7/11(土) 『動』
最終日、降ってきそうな曇天と冷たい風でなんだか暗いような天気だったものの、Stanageへ。
Popular Endの右端から始めて、やり残していたクラシックを登りながら左方へ。
足首の調子は良く、登るにはほとんど問題なかった。
途中、下地の悪いクラックのThe Asp E3/6aをやるかどうか迷った末にOSしてから、
一気にグレードを上げてCalvary E4/6aも回収した。
The Asp

Calvary

The Aspを登ったあとに、孫がいそうなじいちゃんクライマーのペアと話をした。
「俺も30年前はそうやってあちこちソロしたもんだ」とか、
「僕はあのジョー・ブラウンとかと一緒に登ったことがあるんだ」とか。
「僕らは50年くらいクライミングをしていて、今もここに通ってる」と聞いて、なんだか感動した。
そのほかにも、初日に石灰岩のエリアで会ったマイクと再会したりして、
最終日にしていろいろな人と話をした。

最後はついに降り出した小雨の中、White Wand E5/6aをOSして締めた。


いい最終日だった。今夜はどんな夢を見られるだろうか。

7/12(日) 『サヨナラ』
いやだいやだと思っていたが、移動日に雨。さすがはイギリス。
昨日テントの中でパッキングだけ大まかにやっておいてよかった。
小雨が一瞬止んだタイミングで急いでテントをたたんだ。
アレックスに迎えを頼んでいたが、仕事で来られないということで、
自力でシェフィールドに出ることになった。
借りていたテントやマットや自転車は管理棟に預けて、サヨナラした。
ハザーセージの駅まで歩くときは運よく霧雨程度だった。
電車でシェフィールドまで行って、バス停で2時間以上読書しながら待って、
それから高速バスでヒースローに向かった。
予定では6時間だったのに、途中渋滞に巻き込まれたりして結局7時間かかった。
バスでこんなに長時間移動したのは初めてかも。なかなかしんどかった。
ヒースロー空港に着いてから、ホテルまで行くバスを探すのに手間取って、
最終的にホテルに落ち着いたのは10時近くだった。
シェフィールドにあった怪しげな建物


Peak District 5

7/4(土) 『おはなし』
昨夜は雷雨だった。夏山を思い出す。
フライの内側にミッジ(刺されるとかゆいゴミのような羽虫)がうじゃうじゃいて、朝食前に格闘。
虫よけスプレーを直にかけると撃退できることがわかった。
レスト日なので、Outside Cafeへ出かけて通信。
ついでにOutsideでジョニー・ドウズの自伝を購入。読み応えがありそう。
店員の兄ちゃんとも少し話した。
ミッジの話をしたら、「雨の後は特にひどいよ」「次は虫のいない冬に来たら?」と言われた。
キャンプ場に戻ってきて、昨日帰ってきたときに声をかけてくれたスコティッシュ爺さんが来たので、
しばらくおしゃべりした。
昨日少し話した時に、この人の言葉はやけに聞き取りにくいなと思ったら、
「あー、ごめんね。ボクはスコットランドの出なんだ」と言っていた。
スコットランドの言葉はまた少し違うらしい。
「アメリカ英語とイギリス英語も全然違うよね」と言ったら、
「アメリカ英語は綴れない。スペルと発音が違い過ぎて」とか言っていた。
ネイティブスピーカーと話すのはなかなかにハードだが、楽しくもある。
勉強になるし、勉強してよかったなと思う。

7/5(日) 『腰痛』
予報は10時から雨ということだったが、割にいい天気なので、
ジョニーのSad Amongst Friends E6/7aをやりに出かけた。
Stanageの南の端に位置するCowperstoneはSadと右のE4以外ほとんどトライされていないようで、
ほぼ自然に還っているいるものもあった。
E4とSadそれぞれのムーヴをバラしたが、パワフルな変則ムーヴのせいか、腰にきた。
ここでスコールがきたので、濡れながら撤退。
キャンプ場に戻って30分くらいしたら晴れた。ここの天気は目まぐるしく、読めない。
街へガスを買いに行き、それからUnfamiliarをやりにStanageへ出かけた。
一手目を取った状態からロープソロで通せたが、
体が上手く動いていない感じがあったし、腰も痛いので、本番はなしにして帰った。
治ればいいけど。
Cowperstone トポには「巨大な牛糞のよう」と書いてあった

陰影

Unfamiliar


街のグラウンドでクリケットをやっていた

7/6(月) 『雨』
起きた時は曇りだったが、腰もまだ痛むし、レストかと思っていたら降り出した。
テントの中では読書以外することがないので、Full of Myself(ジョニーの自伝)を読み始めた。
イギリスの口語表現なのか、分からない単語のオンパレードだが、
内容はだいたい掴めるので、なんとか面白く読める。
雨止みを待って、カフェへ。またちょっと通信。
雨は降ったりやんだりを繰り返し、結局今日は晴れなかった。
明日以降の予報も思わしくない。
残り7日を読書と買い物で終えるなんてことはないと思うが・・・
旅のお供

7/7(火) 『雨のあと』
暑さで起きた。一応晴れていた。時間は10時過ぎ。
寝過ごしたと思う一方、今日は急いだところで仕方ないとも考える。
という感じでパスタを食べていたら案の定曇り、のちに雨。
しかし昨日登れなかったので、今日は登りたかった。
昼過ぎまでテントで読書していると雨が上がり、もうしばらく待つと日が差してきた。
急いで準備してStanageへ。
風が強いのが気になったが、おかげで岩はパリパリ。少し寒いくらいだった。
雲がすごい速さで流れ、一瞬小雨が来たかと思えばすぐに止んだ。
冷たい風に煽られ、ひーひー言いつつアップして、Unfamiliarのリハーサル。
今日は一回目で通せた。
今回はもう迷いなくロープを回収し、しばらく休んで気持ちが入ってからトライ。
核心の変なハイステップは気持ち悪かったが、ほぼ問題なく決まり、
上部も慎重にこなして完登。
腰はもう痛まなかった。
その後はCareless Torque V12を30分ほど探って、あまりの悪さに感服し、
The Archangel E3/5bとDon E4/5cを気持ちよく登って終わった。
グリットストーンのカンテは素晴らしい。



2015年7月16日木曜日

Peak District 4

6/30(火) 『遠い方』
指皮がないし、暑い日になりそうだったので難しいことはせず、
易しいルートで数を出す日にした。
StanageのHigh Nebの方へはまだ行っていないので、
トポで最もFavorite Five(著名人による傑作選)に登場しているThe Vice E1/5bや、
Stanage最難のMother of Pearl E8/7aなんかを見に行くつもりででかけた。
が、これが近いようで結構遠かった。駐車場から30分以上歩いた。
Lowrider V10のあるEnd Slabでアップして、High Flyer E4/6aも登って、
Chip Shop Brawl E5/6cはスローパーがヌメって持てず、やめ。
The Viceは太くて見るからにしんどそうでドキドキしたが、無事OS。
それからはひたすらVD~E1くらいの良さそうなルートを登っては移動、登ってはまた移動して、
High Neb Buttressを目指した。
暑さと日差しと軽い脱水と、昨日からの疲れと、まあいろいろ重なってもうぐだぐだ。
体力はやっぱり落ちているか。
太陽の国スペインで買った日焼け止めを塗っていても、大分焼けた。
最後は混みあうHigh Neb Buttress VS/4cを諦め、Inaccessible Crack VS/4cを登って終了。
ライン取りが微妙なのも含め、30ピッチ登った。
帰り道はもうゾンビのようだった。
アプローチの途中で微笑むHappy Milestone。眉毛がつながっている。

The Vice

7/1(水) 『夏日』
だったらしい。
例によって直射日光で焼かれたテント内の暑さに耐えかねて起きた。
昨日終わった時点では激しい筋肉痛がくると思ったのだけれど、そうでもない。
体が重いと感じる程度。じゃああの疲れはなんだったのか。
シャワーを浴びて洗った下着を干して、Outside Cafeに出掛けた。
途中牧草地の草むらを横切ったせいか、イネ科の花粉で目が悲惨なことに。
カフェのトイレで鏡を見たら、真っ赤だった。薬を飲みませう。
カフェで少し通信。スペインのイバンから「来年の夏は日本行くからな!」とメッセージが来ていた。
大ザルとメッセンジャーでやりとりをしていたら、WiFiの時間が終わってしまい、
Facebookに投稿できず。
キャンプ場に戻り、久しぶりに落書きやら、トポを見ながら英語の勉強やらして、
ウンカの群れに取り囲まれながら暑いレスト日が終わった。
ツアーは折返し、日本の土を踏むまで、あと2週間。
ハザーセージの教会

口から雨水が出るわけではないらしい

7/2(木) 『E8』
曇りという予報だったが、朝は晴れ。
さてどうか、と思いつつゆっくりBurbage Southへ。
そういえば少しパッキングを変えてロープをリュックの中に入れたら、
肩掛けのマットがずれやすく、むしろ背負いにくくなってしまった。
なんだかいつにも増して足取りが重いような気がしたが、とりあえずアップ。
E2くらいまで登って、仕上げにCrikey E5/6aもOS。
じゃりじゃりして怖かったが、ホールドは大きく、快適だった。
Crikey

Simba's Prideにロープを張り、リハーサルしていると、曇ったり雨粒が当たったり、
かと思えば日が差したりと変な天気に。
ロープを引きながらもう一度繋げて登れたが、核心が不安になり何度か練習。
結果、余計に不安になった。
妙に蒸し暑い気もするし、どうするか悩んだ。
悩みに悩んで、待っていると風が出てきて涼しくなったので、覚悟を決めてトライ。
核心のスローパーエッジをイメージ通りに止めたところで、
胸の辺りに突き出たぺブルにTシャツが引っ掛かり、一瞬動きを止められて焦った。
結局、気合を入れて動いたらプチッと引きちぎれたが、気にしない。
続く2手をこなして完登。近くで見ていた二人組がやんやと拍手してくれた。
気疲れでどっとやる気がなくなったので、Northに移って易しいルートを数本登り、
雨に降られて退散した。

この一手が一番悪かった


最後の一手

Simbaに喰われたTシャツ

7/3(金) 『Bamford』
Burbageの課題が一段落し、何を、というよりもどこで登るか悩んだ末、
Bamfordに行ってみることにした。
Stanageを横目にだらだらと起伏のある道を走り、到着。
アクセスの都合上、少し遠いゲートからしか入れず、しばらく歩いた。
Bamfordは思っていたよりも全体的に小さかった。それに下地が悪い。
とりあえず一番奥のThe Salmon E7/6cのスラブ周辺でアップ。
他のパーティが来たので、E1くらいまででやめておいた。
そもそも今日は暑かった。天気がいいと日向はやはりしんどい。
少し移動して登っていたら、ハイステップのときにパンツの股間が裂けてしまった。
Gargoyle Flake Vs/4cの上部。これが名前の由来のようだ

Jasmine E6/6bにロープを張り、30分くらいやったらムーヴが定まったので、
コンディションは良くなかったが気にせずトライ。
無事に登れはしたが、核心の一手で持っていたカチがすっぽ抜けて、
あわやというところで片手で止まった。
E8より、一瞬危なかった。
甘いカチの続くフリクション系のルートを、この時間この指皮でやったのは迂闊だった。
もっと慎重にやらねば。
Jasime

この直後、左手が抜けました

Magnum Force HVS/5b

2015年7月15日水曜日

Peak District 3

6/26(金) 『種蒔き』
レスト明け。朝、小雨が降ったので、遅めの朝食を多めに摂ってBurbageへ出かけた。
それにしても自転車のハンドルは何とかしないと、
乗るたびに手が真っ黒べたべたになってしまって萎える。
しかもこれがなかなか落ちないのだ。
まずNorthに行き、Three Blind Mice E7/6cにロープが張れることを確認し、手近なルートでアップ。
Amazon Crack HS/4a とLong Tall Sally E1/5bはなかなかよかった。
Miceはマントル周辺の手順とホールドが定まるのに時間がかかったが、
ロープを引っ張りながら登れるまでにしたので、次回は狙えるかも。
Three Blid Mice

Southに移動し、Simba's Pride E8/6bにもトライ開始。
これは思っていたよりもまず傾斜が強く、かつホールドもことごとく悪く、
ムーヴはバレたもののかなりしんどいことが分かった。
最後の一手まで悪い分、Miceよりも数段ツラい。
となりのBlack Out E9も少し磨いてみたが、Simbaをさらに悪く怖くした様子なので、
とりあえずはE8狙いか。
Simba's Pride

6/27(土) 『最初の成果』
今日はStanageへ。皆さん忙しいのか、アレックスもトムも誰も訪ねてきません。
週末ということでStanageは混んでいた。
天気はこれまでで一番良かったかも。
Shine On E7/6cの近くでE1までのルートを数本登ってアップして、
Shine Onを数回リハーサルしてから腹をくくり、本番。
落ちるイメージはなかったし、実際その通りだった。
最初のE7だった。
偶然通りかかったパーティが「スパイダーマンみたい」と驚いていた。
それはクライミングをしない人の反応でしょう。
Shine On E7/6c

続いてUnfamiliar E7/6cに種蒔き。
トポではShine Onと全く同じグレードだが、こっちの方が大分悪い。
ロープソロで3テンまで持ち込んで、最後にSilk E6/6cをやりに行ったが、
出だしのV7でハマり、それだけ登ってやめにした。
V7のマントルを返してから、微妙なスメアでスラブを登るこのルート、
初登はジョニー・ドウズ、しかもオンサイトフリーソロだったらしい。
舌を巻くとはこのこと。

真ん中のカンテがUnfamiliar

6/28(日) 『カフェ』
レスト日。予報は好転しているようで、朝に少し降ってからはおおむね良好だった。
ハザーセージまでどうやって行くか迷ったが、帰りの猛烈な上りが嫌なので、歩いて行った。
全てあの、キャンプ場と町の間にある私有地が悪い。
駅の方へ散歩してからOutside、そしてOutside Cafeでゆったり。
WiFiもある、というかここにしかないので、レスト日の拠点になりそう。
スープとポテトを食べて、ココアも飲んでと、少々贅沢しすぎたか。
スーパーで買い出しをして帰った。
片道30分ないくらいなので、歩きで十分だった。
さて、明日はまたBurbageか。どうやってマットを持っていくか悩ましいが、
とにかく明日は沢山登ろう。

6/29(月) 『黙々と独り』
気づいたら多摩川河川敷いるという変な夢を見て起きた。
「さっきまでイギリスだったのに」とか言ってた。ちなみに多摩川河川敷には行ったことないです。
マットは少し背負い方を変えたら問題ないことが分かったので、フル装備でBurbageへ。
Miceの辺りでアップしていたら、おじいちゃんクライマーが一人やってきて、
あっちこっちにロープを垂らしてE1くらいまで登っていた。
しかも見たところアプローチシューズ。英国紳士強し。
ロープソロで数回核心を確認して、日差しが少し気になったが下からトライ。
両手スローパーからのポケット取りが気持ち悪く、怖かったものの、無事に登れた。
Three Blind Mice E7/6c。これでE7は2本目。


Southに移動して、The Knock E4/5cをOSし、他にもE1~E4を数本登ってからSimba's Pride。
前回よりもコンディションがよかったのか、2回ほどやったらロープを手繰りながらなんとか登れた。
条件次第では、次回狙えるかも。
その後はQuarry(石切り場)の方で少し違う表情の岩を楽しんで、
最後にBurbage WestへWest Side Story V9をやりに行ったら見事に撃沈。
宿題が増えてしまった。
The Knock