2015年6月22日月曜日

Peak District 1

7/20(土)
今週末はとりあえずアレックスの家に泊めてもらう。
といっても自力で登りに行けるほど近くはないので、アレックスがパートナーを探してくれた。
で、昼過ぎにワイドボーイズのトムが来てくれることになったので、
その前に午前中はアレックスにハザーセージ周辺のエリアを案内してもらった。
Stanage、Burbage、Millstoneと、どこも聞いたことのあるエリア。
それが全て、結構近くにまとまっていて驚いた。
ハザーセージにあるショップにも寄って、トポを購入。
アレックスが「貸すよ」と言ってくれたけど、やっぱり買わずにはいられません。
買ったトポにこんなものを発見

一度家に戻ってお茶を飲んでいたら、トムがやってきた。
どこに連れて行ってくれるのかと思ったら、なんと石灰岩のエリアに行くという。
グリッドストーンに行く気満々でいたので、予想があっさり外れて戸惑う。
ここシェフィールド周辺にはグリッドに限らず石灰岩のエリアも沢山ある。
かのHubbleのあるRaven Torが有名。
スポートもトラッド両方あるらしい。
石灰岩のトラッドとは、もう全く未知のものなのでドキドキしながら出かけた。

名前は忘れてしまったけれど、小さな谷の中にあるエリアに行った。
川沿いにピナクル状の岩が立っている、綺麗なところ。
そのうちの一つにトムのトライしているプロジェクトがあるそうで、それをトライすることに。
当然のようにボルトはないので、裏側のアルパインみたいな草付きからロープを張りに行く。
トムが手早くロープを張って、支点をつくって、プロジェクトのある壁にトップロープをかける。
さすが英国紳士、手慣れております。
トムさん

プロジェクトのある壁は110度くらいのフェースで、20メートルくらい。
ところどころにあるクラックやスロットにナッツを突っ込むらしい。
形状が多彩な石灰岩は、プロテクションを取るのにも頭を使うんだろうな。
アップなしでいきなりトライしたので、トップロープとはいえすぐに腕がパンパンになった。
そういえばルートを登るのは久しぶり。完全にボルダラーと化した僕にはキツい。
ポケットと縦ホールドがメインで、ムーヴはなかなかにトリッキー。
最後に一箇所痛いポケットを全力で引きつけるムーヴがあって、そこだけ解決できなかった。
慣れない岩場なのでよくは分からないけれど、ムーヴだけで8b以上あるのかなという感じ。
それに加えてプアプロ。下から上までずっと悪いし。
トムは「今まで登ったE9よりも悪い気がする」と言っていた。

最後に同じ壁の左を登るルートもやらせてもらったけれど、
こっちは一箇所ガツンと悪いムーヴがあるタイプのルートだった。結局ムーヴをバラせず。
降りてきてから「これ7bとか7cとか、それくらいなの?」と聞いたら、笑いながら「8b+」と言われた。
そりゃ悪いわけだ。
岩場の近くにあるかわいい家

シェフィールドに帰る途中、トムに「なかなかキツい導入だったな」と言われた。
まさかイギリスで最初のクライミングが石灰岩のトラッド、しかもプロジェクトにトライするなんて。
更にトムによると、イギリスはハードなトラッドのイメージで通っているけれど、
最近はハードトラッドをやっている人は意外に少ないらしい。
となると尚更自分は珍しいものを経験したんじゃないかと思えてくる。

シェフィールドのパブでアレックスと落ち合って、一杯飲んでから帰った。
イギリスのビールはスペインのビールとはまた違った風味がした。
そういえば日本のビールってどんな味だったっけ。


6/21(日)
この週末アレックスは仕事が忙しいようだし、今日はパートナーが見つからなかったので、
朝Stanageの駐車場にポイしてもらい、一人でボルダ―を登りに行くことにした。
アレックスが「こんなものあったぞ」とサル左衛門が使っていた小さいサブマットを貸してくれた。

近づくと「なにか?」という顔でこっちを見て案外逃げない

時折小雨が降る空模様だったけれど、遠くに晴れ間も見えるし予報もそれなりだったので、
まあ焦ることもないかとエリアを観光気分で散策。
エリアとしては決して大きくないのに、有名課題がわんさかあるのが凄い。
いや、単に自分がオタクなだけか?
ルートも近場のものだけ見て回って、それから手ごろなサイズのLone Boulderでアップ。
グリッドストーンは砂岩だけど、砕けた花崗岩がもとになっているのだそうで、
ブローやアルバラシンの砂岩とは全く違う感触。
V3くらいまでの課題を数本登って、ちょっと移動してCrescent Arete(V2)も一撃。
結構高さがあって怖かったけれど、カンテはガバなので快適。
次はNot to Be Taken Away(V4)。出だしで足が滑って落ちて、2回目でゲット。
核心は出だしで、その後は怖さと反比例してホールドは良くなってくる。ものすごくいい課題。
あまりにいい課題なのでもう一回やったら、また出だしで滑って落ちた。次のトライでリピート。
もうこれだけで楽しい。

次に何をやるか迷ったけど、まずはThe Storm(V9)。
サル左衛門が一撃したそうなので意気込んで取りついたらあっけなく返された。
斜めのレールが思った以上に悪かった。
かなり真面目にやったけど、立ちこんでリップにタッチするのが限界。
右手の指皮がみるみるなくなっていくので、後のことを考えて止め。
The Storm

風がびゅーびゅー吹いていて、冬みたいに寒い。
頑張って動かないと鼻水が出てくるくらい寒い。
ということで、体が冷えないうちにBrad Pit(V10)へ。
コンディションは寒さのおかげで良さげということで、意気込んで取りついたらすっぽ抜け。
左手をいきなり猫パンチして流血。がー。
これもサル左衛門が一撃しているので気合を入れてやったのだけど、夢破れる。
やっているうちにヒールを掛けるポイントが解ってきて、1手目が止まるになった。
1手目の縦がまたえらく丸くて悪いのだけど、ヒールに乗っていくと体が上がってしまう。
不思議なムーヴだ。
コツがつかめてきて2手目の縦も取れたけど、ガバへのデッドが上手く出ず、
何度か止め損ねたら今度は1手目が上手くいかなくなった。
実質3手でひたすらしんどいので、こりゃいかんとレストすることに。
ルートの下降路を遡って岩の上に立ったりして、しばらく休んでから再トライ。
体が動くようになっていて、1回目でデッドを止めて登れた。
Brad Pit

ムーヴが3手の中に凝縮されていてなかなか厳しかったけど、いい課題だった。
なにより、まずここにきてこれを登れたことが感慨深い。

ちょっと移動してDeliverance(V8)を少しやったけど、ランジが物凄く遠く感じるし、
風が強くなって寒くて仕方ないので、しばらくレストがてらStanageのルートをあれこれ見に行った。
ここは縦にも横にもクラックが走っている岩が多く、あれこれラインが引けるらしい。
トポの見た目はごちゃごちゃしているところもあるけど、
大抵はそのどれもが弱点なので、見てうんざりするようなことはない。
この時間には岩場はかなり賑わっていて、そこら中で人が登っていた。初心者も多かった。
簡単なルートをソロしてみようかなとも思ったけど、人が多いのでやめておいた。

ボルダ―エリアに戻って、あまりに寒くて萎えそうになったけど、
とりあえずThe Green Traverse(V6)を登って体を温めた。これは一撃。
ちょっと下地の悪いGlass Hour(V6)も登って、
一人でやるにはちょうどいい高さのCaptain Hook(V8)もやってみた。
これはムーヴを見つけるのにしばらくかかったけれど、分かったらすぐに登れた。
時間を見たらもうそろそろアレックスが迎えに来る頃だったので、
最後にPebbledash(V4)を登って終了。

コンディションがいい、というかむしろ寒すぎるくらいだったのには驚いた。
てっきり微妙な条件でだましだましやることになると思っていたのだけど、これは誤算。
この天気が今後どうなっていくか。

明日はレストで、明後日にはアレックスの家からキャンプ場に移るので、
更新はしばらく、もしかしたら帰国後までできないかもしれませんが、あしからず。

ES ⇒ UK

6月19日、ついにスペインに別れを告げる日がきた。
午前中早い時間の飛行機だったので、前日の夕方に寮を引き払い、
エドゥに迎えを頼んでそのままジムへ。
「今日で最後かぁ」としみじみしながらアップしていたら、
エドゥたちがインストラクターのキミーと隣町のジムに出稽古に行こうというので着いていく。
イバン(髪がある方)が「さみしいなぁ」と言うので、
「数年のうちにはまた帰ってくるから」と約束した。
で、隣町のジムに行ってみたらこんな感じ。
全体的に傾斜強め

久しぶりに傾斜の強い人工壁を登ったので、体が全く対応しなくて困った。
もともと得意なわけではないけど、さらにその苦手意識に拍車がかかりそうで怖い。
キミーが次から次へ課題を教えてくれるので、やることには困らなかった。
トレーニングが終わり、さて帰るかというところでキミーともお別れ。
いつもジムで会うたびに「Wataru es animal」と言ってくれていたけど、
別れ際にもまた「Wataru es ANIMAL!」と言っていた。

それからアルカラへ戻って、エドゥとパブロといつものメンバーで飲みに行った。
最後のビールとタパスを楽しんで、俺はネコよりもイヌ派だとかいう話題に花が咲いて、
名残惜しいけれどパブロとはここでお別れ。
「また来いよな。もしくは日本で会おうな」と言って帰って行った。
その夜はエドゥの実家に泊めてもらった。ありがとうございます。

翌朝早くに起きて、エドゥに空港まで送ってもらった。
本当に兄貴には最後の最後までお世話になりっぱなしだった。
ラッシュアワーでごった返す高速を抜けて空港に着き、いざさらば。さすがに涙が出そうだった。
スペインの人たちは別れの時に悲しそうな素振りを見せない。だいたい皆笑っている。
ここで相手に泣かれたりしようものなら、僕はもうぼろぼろだっただろう。

余裕を持ってチェックインを済ませ、しばらくトイレにこもっていたら時間ぎりぎりに。
セキュリティチェックに長蛇の列が出来ていて、危うくゲートクローズに遅れるところだった。
空港側も想定外だったようで、職員が少しカリカリしていた。

マドリッドからロンドンまでは約1時間半のフライト。
後ろの席の学生グループがうるさかったのを除けば問題なし。
ロンドン郊外にあるルートン空港に着いて、入国審査もまた長蛇の列。
審査自体は滞りなく済んで一安心。
空港を出てすぐの所にあるバスターミナルからシェフィールド行きのバスに乗った。

古いバスでした

シートは割と座り心地がいいのに、なぜか終始冷房が入っていてやたらと寒かった。
というよりそもそもイギリスが寒い。スペインが灼熱だったから余計にそう思う。
ルートン空港からバスに揺られ揺られて4時間半、シェフィールドに到着。
サル左衛門が前にお世話になったアレックスが、バスターミナルに迎えに来てくれた。

というわけで、スペインでの生活は終わりましたが、まだ日本には帰りません。
これから3週間ほど、憧れていたトラッドの本場でクライミングを楽しむ予定です。

2015年6月14日日曜日

La Pedriza 15

スペインで過ごす最後の1週間が始まりました。
が、初っ端から雨。
これまで晴れに晴れて、青空を見飽きるくらいに晴れていたのに、
ここにきていきなり曇りがちな空模様が続いております。なんじゃこりゃ。
一日に何度かにわか雨が降って、雷が鳴って、また晴れるという、日本の夏みたいな天気。
数日前は直径1センチくらいの雹が降ったりしました。

この週末はまたHoya Morosに行こうという話だったのだけど、こんな天気なので中止。
ということで、先週サヨナラしたはずのLa Pedrizaへ行くことに。
日曜日は雨予報だし、みんな「土曜日は登りに行けない」とのことなので、
金曜日の夕方に出て夜中まで登るということになった。

エドゥが「17:30ね」と連絡をくれたのでその時間に学校の前で待っていたけど、
案の定20分くらい遅れてやってきた。
思い返すと、待ち合わせをして時間ぴったりに来たことはほとんどなかった気がする。
「遅れてごめんな」と言いつつ、
「これがSpanish Styleだ。そのうちこれが懐かしくなるだろ」と何故か自慢げな兄貴。
自慢げに言うことじゃないでしょうに、と思いつつ、確かにそうだろうな、とも思う。

パブロを拾って、Manzanaresの街でアンヘルと落ち合って、Canto Coshinoの駐車場へ。
仕事帰りのアンヘルは着替え中

折角戻ってきたし、涼しくてコンディションも良さそうなので、Pradera del Panchoに行かせてもらう。
いくら前回条件が最悪だったとはいえ、宿題は出来る限り回収してすっきり終わりたい。
川を渡ったところにでっかい牛がいてびっくり。
アンヘルに「お前、赤いTシャツだけど大丈夫か」と言われたけど、大丈夫でした。
ちなみに、牛は赤い色ではなく布がひらひらするのに反応するのだそうです。

前回最後に登った辺りでアップ。
もうここから全く感触が違う。地面は湿気ているけれど、岩はカラカラ。
先週暑さに敗退したMayoria de Edad(6c)も今回は普通に一撃。コンディションって大事。


Mayoria de Edad

エドゥとパブロはMayoriaを結構頑張っていたけど、核心のスローパーが止まらず。
最近忙しいらしい上に故障中のアンヘルは終始のんびりしていた。

二人のトライが一段落ついたところで、Placa Infinitaの辺りに移動。
もう時間も時間で、カメラを回してもほとんど何も映らないくらい暗かった。

この暗い中高さのあるスラブをやるのは不安だったけど、
先週ぐだぐだながらも大体ムーヴのイメージは出来上がったので、ヘッドランプを点けてトライ。
涼しいので微妙なホールドも少ない力で持てるし、シューズもシャキッとしていて立ちやすい。
前回立てなかったスタンスに立ちこんで、初めてのパートに突入。
お、思ってたよりもホールドが悪いぞ。
何かないかと小さい灯りを頼りに探したら、左手で使える結晶を発見。
足元はよく見えないし、既に結構高いので少々怖さもあったけれど、
落ち着いてスタンスを探して拾って、リップ下の水平カチを捕えた。
この一年で鈍ってしまった緩傾斜の勘が、この一瞬に戻ってきた。
Placa Infinita

コンディションが良ければこんなにすぐ登れてしまうものか。
物凄くハードだったわけでも、物凄く怖かったわけでもない。
言葉にして書いてしまえばあっけないけれど、
この時僕はそれらとは違ったドラマチックな感慨に浸っていました。

ひとしきり喜んで、その後は近くにある岩で易しい課題を登った。
見た目の割にムーヴのある6aを登って、その隣にあるMuñon Man(7b)というランジ課題もゲット。
Muñon Man
特大のスタンスからRのかかったハングのリップへダブルダイノ。
振られをこらえるのが難しかったけど、10回くらい跳んだら止まった。
Muñon Manのすぐ裏にある無名の6cも面白かった。
無名の6c

丸いハリボテみたいに突き出した形状を使う課題で、「ワールドカップみたいだ」と盛り上がった。
最後は典型的なフリクションスラブの6aを2本登って、
ひたすら足が滑るまくる3人を応援して終了。
アルカラに帰ってきたのは3時ころだった。


Hoya Morosに行けなかったのは本当に残念だったけど、
大好きなエリアでの最後のクライミングをいい形で締めくくれて本当によかった。
結局La Pedrizaで8台の成果はないままだったけど、
主要なセクターはほとんど回ったし、その分面白い課題、美しい課題をたくさん登れた。
それはそれで、数字以上の価値があるのだろう。

余談ですが、スラブマスターのタロはPlaca Infinitaを片手で登っているそうだ。
しかもそのビデオを観てみたらダウンジャケット着て登ってるし。
ペドリセロスへの道はまだまだ遠いようです。

2015年6月8日月曜日

La Pedriza 14

この前ジムで聞いたところによると、スペインは6月から7月が一番暑いのだそうな。
ということで当然、ここ数日はうだるような暑さで参っております。
まあ、蒸し暑さがない分まだマシなのかな。それにしたって暑いけど。

金土と、エドゥたちとLa Pedrizaに行ってきた。
日中はもう何をどうしたって暑すぎるので、金曜の夜と土曜の朝に登る作戦。
パブロは彼女のマリアと来るということで、こちらはエドゥと二人で出発。
集合場所のCantocochinoの駐車場周辺は電波が届かないので、
エドゥはManzanaresの街はずれあたりでしばらくロザンナに電話していた。
曰く「女性とお付き合いするのはな、ビジネスみたいなものなんだよ」とのこと。
うーん、ノーコメントで。

駐車場に着いて、30分くらいしたらパブロたちも来て、
近場で、且つ知ってるセクターがいいよねということで、薄暗い中Bosque de Cantocochinoへ。
ここは12月に一度来たことがあった。Double Mantel(7b)のあるところ。
他の皆さんは例によってセクターについてからタバコを吹かしているので、
一人で勝手にアップして登り始める。
6台を数本登って、奥の方にあるPabellon Psiquiatrico(7a)をやったらどハマり。
かかりのいいカチからかなり高い位置まで足を上げて、ガバのリップを取る一手もの。
が、これが遠い。とにかく遠い。
リップにぎりぎりタッチするところまでは行ったものの、指は掛からず。
そのうち右の指皮と右足のソールがゴリゴリ削れてきたので止め。
トポで確認したら、しっかりMorfoと書いてあった。そりゃそうだ。
エドゥとパブロも登り始めたのでしばらく観戦して、それだけでは暇なので、
裏のスラブにあるSudoku(7b)とかHard Men(7c+)をやってみたけど、改めて???となった。
夜中だというのに一向に涼しくならない。
あまりにもダメなので、近くにあるちょっと高めのAltruismo(7a)に目標変更。
下部で滑って落ちたけど、2回目で登れた。これは特に問題なし。結構いい課題だった。
その後はひたすらAltruismoをやる二人の応援。

脇が開きすぎて横腹まで見える変なタンクトップのパブロ


カンテを挟み込むタイプの課題なので二人ともヌメって登れず。シーズンインしたら頑張ってね。
というところで、この夜は終了。
駐車場に戻って適当に夕飯を食べて、眠かったのでその辺に雑魚寝で即就寝。
パブロとマリアはどこぞのボルダ―の下へ行って寝たらしい。

翌朝、起きたら既に9時過ぎ。寝過ごした。
寝起きの悪いエドゥはまだシュラフの中でもぞもぞしているし、パブロたちは一向に戻ってこない。
このまま待ってたらもっと暑くなるなと思ったので、
一人で先にPradera del Panchoというセクターに行くことにした。
トポで場所は把握したので、あとから来る人たちのためにトポは残していった。
が、これが大きなミス。
森の中の道を行けども行けども目当ての岩が見つからない。
時間は既に10時を回って暑いし、ちょっと藪っぽいところをうろうろしたりして疲れてきた。
1時間くらい探し回って、ようやく目当ての岩を発見。
Placa Infinita(7b)というLa Pedrizaでもかなり有名なスラブの課題。なかなか高い。
既にかなり気温が高くて「こりゃしんどいかな」という気もしたけど、
とりあえず隣の6台で軽くアップして、エドゥたちがやってきたところでトライ開始。
一歩目から悪いけど、一応手で使えるホールドがいくつかあるので下部は意外と難しくなかった。
中間部はそれなりにホールドがある様に見えたのに、実際はどれも悪かった。
この中間部でハマってしまって、そのうちに結晶をつまんでいた人差し指がぼろぼろに。
足がむくんでいるのかシューズもやけに痛く感じ始め、1時間くらいでギブアップ。
まあ、初段相当のスラブがこの時期にそう簡単に登れる甘いはずがないか。

その後は近くの6台がたくさんある辺りで軽く登って、暑さと粗い結晶に指皮をやられて終了。

恐らく、今回が最後のLa Pedrizaでした。
季節的にもそうだし、多分来週末はもう来られないでしょう。
何か特別な成果を上げようと思っていたわけではないけど、
コンディションの悪さもあって有終の美は飾れず。結構ぐだぐだになってしまってちょっと残念。
内心Placa Infinitaで締めたいと思っていた節はあったけど、あっけなくやられてしまいました。
ここでは何かハードな課題が登れたわけではないのだけど、
一番多く通った岩場であったのは間違いないし、一番好きな場所でもありました。
宿題になってしまった課題も、面白そうだと思いつつトライできなかった課題も山ほどある。
いつか、というよりも出来るだけ近いうちにまた戻ってきたい。

2015年6月3日水曜日

Hoya Moros 2 その2

2日目。寝坊してしまって、予定よりゆっくりスタート。
El Legadoを狙うつもりだったので、Satelite(7a)のある岩でアップ。

この岩は高さもグレードも手ごろでアップにいい。ずっと日向で暑いのが問題か。
6台のカチ系課題を数本登って、それからConfusion(7b)の岩に移動。
前回は下地が湿気っぽくてトライしなかったけど、今回はかわいていた。
最初にばっくり割れたクラックを登るLa Fisura(7a)をやる。
見た目は簡単そうなのに、やってみるとクラックの縁が意外と悪くてハマる。
既にへたり気味の指皮にガタガタのホールドが突き刺さって痛い。
5、6回やって手順が分かったら登れた。
La Fisura

次に、右隣のConfusion(7b)にトライ。
鋭いカチ二つから棚を取って、ちょっと右に行ってから直上。
棚からの2手が遠くて悪かったけど、上部は掛りのいいカチが続いて見た目より簡単だった。
これは3回目でゲット。
Confusion
結晶が立ちまくってて指にくる課題だった。
エドゥがConfusionに触って「悪いなー」とか言っていると、
前日に会った陽気なお兄さん、ディエゴがやってきた。
本人は肩を故障中だそうで登れないけど、ハイキングを楽しみに来ているらしい。
ここの課題には詳しいようで、いろいろと教えてもらった。
「なんだか見覚えのある顔だな」と思っていたら、
実はAlbarracinのLa Fuenteで会った人だった。

暑いのと指が痛いのとで多少不安があったものの、El Legadoへ。
この課題は岩と岩の間なので、ほぼ1日中日陰でコンディションは良さげ。
1回目は1手目を取り損ねて落ちて、「やっぱり疲れてるかな」と思ったけれど、
2回目でヒールを掛けるポイントを発見して、一気にリップまで進んだ。
ここからヒールを解除したら、案の定右手の甘いカチがすっぽ抜けて落ちた。
初めてここまで進んだけど、やっぱりこの辺りが核心らしい。
思ったよりこのムーヴが悪いので、低い足から真上のリップにランジするつもりで、3回目。
右手の水平カチを取って真上を時点で「あ、これ届かんわ」と感じたので、また左のリップへ。
右足で微妙なスタンスを拾ったりごにょごにょしてからヒールを解除したら、
なんだか変な体勢振られたけれど、何とか耐えた。
残りの数手は落ち着いてこなして、ガバを取ったらビクトリーロード。
前日最後にやったせいもあるけど、The Perfect Paradiseとかよりも悪く感じた。
いい課題でした。
見ていたディエゴが「次はSD(8b)だな!」と薦めてきたけど、それはまた次に機会に・・・

やることが終わって一気に疲れた気がしたので、一度荷物のところに戻って昼食。
食べていたら空が曇って、時折雨粒が落ちてくる天気になってしまった。
しばらく食休みして様子を見たけれど回復しない。
エドゥが「帰りがけにもう一度Atilaやりたい」と言っていたものの既にお疲れの様子だったし、
僕も大体満足してしまったので、降ってくる前に早めに帰ることに。
が、結局雨はほとんど降らなかった様子。
帰りはひたすらなだらかな道をだらだら下って2時間ほどで駐車場に到着。
歩きながらふと上を見たら、大量の羽虫が頭上を飛び回っていてぎょっとした。

前回ほど疲れていなかったおかげか、帰りの車の中で寝落ちすることはなく、
またエドゥとあれやこれやと話をしながら帰った。
日本では山で用を足しに行くことを「キジ撃ち」とか「お花摘み」とか言うけれど、
スペインでは「松の木を植えに行く」と言うのだそうだ。
かたや採集、かたや植林。これ如何に。

前回は7台のクラシック、今回はもうちょっと高難度な課題を中心に回ったので、
出来ればスペインを離れる前にもう一度行って、今度は高さのある課題をメインにやってみたい。
ハイボール好きの自分としては、強烈な存在感を放つあの課題たちを放っておけないのです。
さて、果たしてどうなるか。

2015年6月2日火曜日

Hoya Moros 2 その1

ついに6月になりました。スペインで過ごすのも、残り20日足らず。

5月最後の週末は、エドゥと二人で2度目のHoya Morosに行った。
いつもなら木曜日か金曜日に「週末はどこどこへ行くぞ」とオファーをくれるけど、
今回は珍しく月曜日から連絡がきた。
こちらとしては嬉しい限り。まさか二度目がこんなに早くやってくるとは。
友達から旅行に誘われたりしていたけど、そもそも観光には全くと言っていいほど無頓着だし、
何よりこういう中長期的に予測がつかない誘いがくるので、旅行になんて行っていられない。
久しぶりに平日に2日しっかりトレーニングして、
トポの代わりにビデオをあれこれ観て課題を調べて、準備は万端。

土曜日の朝に出発して、WCのシーズン開幕だねとかそんなことを話しながらドライブ。
荒野の中の道はやたらと猛禽類が飛んでいた。
エドゥが「おい見ろよ、タカだ」とか呑気に言っていたら、
一羽がいきなり急降下して、道路の真ん中に死んでいたらしいでっかい蛇を引っ掴んでいった。
「すげーもの見た」と二人して興奮。
更に、途中でスーパーに寄って食料を買ったら、ぴったり20ユーロだった。
なんだこれ、なにかいいことがあるのか?吉兆なのか?

今回はCanderalioから少し違う道を進んで、林道の行き止まりにある駐車場から歩くことに。
本来こっちがメインで、前回行ったアプローチは夏の間使えないらしい。
で、最近こちらから行く新しい道が出来たとの噂を聞いたので、それを探す。
ところが、出だしから完全に道を間違えたらしく、山の稜線に上がってしまった。
仕方ないのでエリアの真上にそびえる山の方へ歩いて、それから下って谷へ。
結局2時間半くらい歩く羽目になりました。やれやれ。

このサイズの蛙は久しぶりに見た気がする

一面咲いている黄色い花は綺麗だったけど、こっちの道は景色が単調であまり楽しくない。
ともあれ、無事エリアに到着。
荷物を降ろして、エドゥがしばらく休むようなので、前回見ていない辺りを偵察に行った。
ごちゃごちゃまとまっている割に、高くてカッコいい課題が結構あった。
Rude Man (8a)

左のカンテがIkara(8b+)、奥のハングがPahari(7c+)

荷物のところに戻ったら、エドゥが古いシャツの袖を切ってノースリーブをこしらえていた。
じょきじょき

完成

まずTotal Brutal(7a)のあるガバだらけの岩でアップして、Atila(7a)の岩へ。
Atilaはスタンドが7aで、SDは7b+/cだとのこと。折角なので、SDの一撃を狙う。
スタートと1手目がフィンガークラックで、どう持ってどっちの手を出すか迷ってもじもじ。
かなり迷ったけど、デッド気味にフィンガージャムを突っ込むムーヴでやったら止まった。
手順が微妙だったけどジャムを決め直したりして越えて、スタンドに合流。
7aの核心が思いの外遠くて悪かったけど、気合で止めてそのままフラッシュ。
一応クラックの心得があるからか、7b+/cはない気がする。
まあ、一撃出来てしまった課題は総じてそういうものか。
Atila

エドゥはスタンドをトライしていたけど、核心のカチが止まらず。
「前にリップを取り損ねて落ちたんだ、今回は出来る」とか言っていたけど、また次回ですな。

メインのセクターに戻って、次はTecho Patronesの岩へ。
ここにThe Perfect Paradiseという8aがあるそうなので、それをやる。
まずQue Cucada(7b)をやったら見た目以上に悪くてやや苦戦。5回目くらいでゲット。
The Perfect Paradiseはハングの左下の方にあるアンダーから、
Que Cucadaのアンダーをガストンで指して合流する。
2手追加して7bが8aになるんだから、相当悪いんだろうなと身構えていたら、
案外簡単に1手目が止まってそのまま後半へ。
そのトライはQue Cucadaの核心でスリップして落ちてしまったけれど、次のトライでゲット。
パワフルな下部から繋げてくるとQue Cucadaのパートでヨレてしんどいけど、
力押し出来るタイプだからなのか、あっけなく登れてしまった。
下部が低空飛行なので多少地味だけど、反転したりしてそれなりに面白かった。
The Perfect Paradise

日が沈んできたので、前回日当たりの良さから諦めたComidos por la Droga(7a+)へ。
四角いダブルカンテをばしばし挟んで登る課題。スタンドが7a+で、SDは7c。
エドゥはスタンド、僕はSDをトライ。
SDは左手カンテ、右手アンダーから右の棚ガバにどんっとランジして、スタンドに合流。
もう見るからに1手目が核心。Albarracinにありそうな運動系のランジ。
最初数回は距離が伸びなかったものの、跳び方が分かったら距離が出て止まった。
7a+に合流してから一度ヒールがすっぽ抜けて落ちたけれど、次のトライでゲット。
Comidos por la Droga

Hoya Morosにしては珍しくほぼカチを握ることのない課題だった。気持ちいい。
エドゥは惜しいところで登れず。
ヒールは苦手と言っていたけど、かけ方が分かったら登りそう。

最後に、すぐ上にあるEl Legado(7c+/8a)にトライ。
ガラスみたいな鋭いカチとファットピンチでスタートして、フラットな水平カチを繋いで登る課題。
110度くらいに見えるけど、実際はもうちょっと傾斜があるようで、
ファットピンチにヒールを残して甘いカチを繋いで、リップを押さえてから解除するのが核心らしい。
一撃を狙ったもののあっけなく返された。
トライしていたらひょっこり現れた陽気なお兄さんがいろいろ教えてくれたけど、
歩き回った後にあれこれ登って疲れたらしく、この日は登れず終了。
保持力系の課題かと思っていたら、実はフィジカル系だった。

アプローチに時間がかかってしまったけど、その割にはいろいろ登れて満足。
夕飯はチョリソーとトマトのパスタ。もうこれが定番。
スペインの人はこういう主食にプラスしてパンやプレッツェルみたいなのを食べる。
ラーメンライスとかそういう組み合わせは僕もするけど、
この汁気のない炭水化物+炭水化物という文化は未だに慣れない。