2014年11月23日日曜日

La Pedriza

いよいよセメスターが残すところ数週間となり、忙しさが増すこの頃。
水曜日に一つプレゼンを終えて、一息ついたらまた来週火曜に別のプレゼン。
まぁそれでも、一緒に授業を受けている4年生たちに比べれば少ないんだけど。

今日はエドゥ兄貴に誘ってもらって、半日La Pedrizaに連れて行ってもらった。
La Pedrizaはマドリッドの北にある「スペインのジョシュアツリー」と呼ばれる場所。
マドリッド近郊では最大のクライミングエリアで、岩は粗い花崗岩、
スポーツ、トラッド、ボルダ―、なんでもできるところだ。
そして、こちらに来る前からずっと行ってみたかった岩場だった。

アルカラからは車で1時間ちょっと、ということはマドリッドからだと1時間かからない。
Manzanares el Realという湖畔の小さな町があって、そのすぐ裏手に物凄い量の岩
こんな場所が都市部から1時間かからないなんて、ちょっとずるい。
これでも山のごく一部


メインの駐車場が混んでいるようなので、エドゥが裏道を教えてくれた。
兄貴は3時ごろまでにマドリッドへ彼女を迎えに行かなくてはならないらしく、さっさと出発。
一番大きな山は主にルートの岩場のようで、
ボルダ―エリアのほとんどはその隣の丘を取り囲むようにしてある。
今回行ったのはCrossroads Esteというセクター。
El Hormiguero 6a+

Sancho's Move 7a+

セクターの真ん中あたりで易しい課題を登ってアップ。
岩はZarzarejoやEl Escorialとはちょっと違って、捕獲岩(通称ポテト)が少ない。
ホールドはカチとスローパーが主体。
時間がないので、エドゥお目当てのThe Prawn 7bにトライ。
結構集中して狙ったら、OSできた。
縦ホールドで挟み込むタイプの課題で、面白かった。
The Prawnの兄貴
岩の感触は豊田と瑞牆の中間くらい、といった感じ。

移動して、Techo de Javi 8aの岩へ。
Techo de Javi

ルーフ中間のガバからで7a+、右下のアンダーからつなげて8a。
もっと右奥からトラバースしてくる8a+もあったけどそれはやめておいて、8aをやる。
アンダーのカチはまぁ良しとして、足が悪い。
位置が悪くてスタンドのスタートを取るランジが非常に出にくい。
スリップと高速タッチを繰り返したけど、結局止まらず。
若干暑いのも手伝って、スタンドを登るだけにとどまった。

時間があれば他のセクターに行ってみたいところだったけど、
そんなに時間がないので、このセクターで時間まで登ることに。
ということなら、ぜひともやってみたい課題があった。
エドゥはもうちょっとThe Prawnをやるというので、探しに行ってみる。
ひとっ走りすると、ありましたありました。
El Piruloというこの課題。前にビデオで観て印象に残っていた。
7a+なんだけど、とにかく高い。6メートルはあるか。
ちょうどいいくらいの幅の四角いピラーをばしばし挟んで登る一目瞭然な課題。
予想より高く見えて若干びびりつつ、エドゥのところに戻って、それから移動。
最初のトライは中間でヌメりにビビッて即飛び降りた。
やっぱり今日はちょっと暑すぎた。湿度も高かった気がする。
2回目は良く見えない形状とフェース部分のカチを発見。
そのままじりじり進んで右の低いリップへ。
ムーヴは全体通して似たくらいだけれど、最後の左上のリップをラップで取るところが、
微妙に届かないくらいの距離でいやにしんどい。
ここまで来てまだ核心終わらないのか。
飛び降りるのも嫌だし、左のヒールで乗り込んで探る。
と、左のヒールが抜けた。
あわやというところで右手が離れず、とっさに右の岩を蹴って止めた。危ない危ない。
でもこの岩は使えないのでその状態からレイバックで一度登り切って一息。
くそー、7a+とはいえ悪いぞ。

このトライで疲れたのでしばらく休んで、3回目。
2回目であれこれ探ったおかげでリップまでのシークエンスは固まり、
スムーズにこなしてリップを取る。
高くてあまりトライされないせいか、この辺は足元が若干じゃりじゃりする。
今度は抜けないように注意してかけて、カンテ向こうのリップを抑え、
カンテを回り込んで今度こそガバをつかんだ。
ムーヴだけでいえば2級くらいな気がしたけれど、この高さでこの核心。しびれた。
瑞牆の生命力よりもムーヴは易しいけど、こっちの方が怖いので似たくらいか。

さて、いい画が撮れたかなーとカメラを確認しに行くと、なんとバッテリーが切れていた。
残念ながら完登したトライは全く撮れていなかった。OMG!
完登動画はぜひともほしいけど、今日はもうトライする気になれなかった。
シークエンスは全部分かったし、また次回。

帰り道の途中にあるLa Ola 7c+を短い時間でやってみたけど、
実質2手の1手目が止まらず宿題に。
これもなかなかカッコいい。
La Ola

聞くところによると、La Pedrizaに通うクライマーたちのことをPedrizeroと呼ぶらしい。
名張のナバラーみたいなものか。
その人たちは体は細いけど緩傾斜の足で立つクライミングが異常にうまいんだとか。
フィジカルは強く、それでいてPedrizeroのような足遣い・・・というのは贅沢だろうか。
でもここに通ってボルダ―を登っていれば、そのうちそうなれそうな気もする。
要はいい岩場なんです、ここは。

それにしても、Manzanares el Realというここの町は本当にいいところだ。
目の前には湖、後ろには世界に誇れるような一大エリア。
裏庭みたいなところには8b+までのボルダ―がごろごろ。
エドゥ曰く、「マドリッド近辺で一番住むのにいいところ」だそうだ。
僕もそう思うし、すごく羨ましい。

2014年11月10日月曜日

Albrracin

雨季が終わってまた微妙に暖かくなったのに、
先週に入っていきなり冬みたいに寒くなりました。
が、先生に聞いてみたらこの辺は雪がほとんど降らないらしい。
去年は2回しか降らなかったとか言っていたけど、さて、今年はどうなることやら。

ジムで知り合ったエドゥが「土曜日に日帰りでAlbarracinいくぞ!」と誘ってくれたので、
条件反射的にハイテンションな返事をした。
その連絡をもらったのが授業前の教室だったのだけど、
周りが賑やかいのをいいことにひとりで声を出して喜んでしまいました。
三度目の正直だ!

エドゥはアルカラに住んでいるので、学校の前まで迎えに来てくれた。ありがたや。
Albarracinまでは片道3時間弱のドライブ。
その間果たして話が続くのか少々の不安はあったけれど、
前日よく寝たしテンションも高かったので、話はあちこち分岐しながら盛り上がった。
エドゥは僕の通う学部の卒業生(しかも数年前)なのだそうで、
在学中はスロバキアに交換留学したらしい。
その他、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、タイにも行ったことがあるとか。
仕事で行ったらしいのだけど、何の仕事をしているのかは謎。
強面で声が低くて凄味があるのだけど、いい人です。
僕と同じくクライミング動画を漁るのが好きらしく、Nalleファンだとのこと。
ちなみにMonolithic Blockの動画も観てくれたとのこと。やりましたよいましさん!

前置きが長くなったけれど、昼前にAlbarracinの村に到着。
ここの砂岩を使った赤っぽい建物が印象的。
時間がないので迷路みたいで素敵な中心地までは行けなかったけれど、
Dosage VでJason Kehlがぴょんぴょんしていた城壁は見えた。
エドゥおすすめの小さいパン屋と向かいにあるスーパーで買い物をしてエリアへ。


Albarracinはスペインを代表する砂岩のボルダ―エリアで、歴史は割と浅く10年くらい。
起伏のあまりない松林の中に赤茶っぽい独特の色をしたボルダ―がごろごろ。
砂岩ということでまずフォンテーヌブローみたいな岩を思い浮かべたけれど、
ブローとはちょっと質が違うようだった。
一番の特徴は、キノコ状のルーフが大量にあることかな。

今回まず行ったのはTechosというセクター。Techoというのはスペイン語でルーフのこと。
その名前の通り、ルーフの課題が多い。
不時着したUFOの群れ、というか、折り重なる煎餅の山、というか、とにかくそんな感じの所。
看板課題を見て回って、易しい課題の多いところでアップ。
この真ん中の7a+がやたらと悪かった
アップが終わったところでエドゥがトライしているEclipse(7b)に移動。
これもこのエリアの看板のひとつ。
ルーフの真ん中からスタートして、左の木の方へ抜けるのが7b、
写真手前の方に抜けるのがバリエーションで7c。
7bは見るからに一撃できそうだったので狙ってみたらやっぱりできた。
実はFLの最高グレード更新だったりして。
マントルの時にズボンがどこかに引っかかったらしく、膝に巨大な穴が開いた。OMG。
続いて7cの方もやってみると、こっちはしっかり悪い。
核心のムーヴをバラすのにちょっと時間がかかったけど、
繋げたら1発でできた。
ルーフは苦手だけど、できてよかった。
エドゥは背中から落ちた時にマットの隙間から出ていた石にケツを打ったらしく、痛そうだった。

続いてこのエリアで一番有名なCosmos(8a)へ。
このハングのど真ん中
150度くらいのハングにいい感じにホールドが続いていて、大穴にダブルダイノという課題。
核心のスロットカチが磨かれ過ぎてツルツル。だんだん大きくなっているらしい。
この一手からが悪い
スロットカチは何度かやるうちにだんだんスタティックに取れるようになってきたけど、
ランジの振られが半端じゃないのでどうも止まらない。
本当は左手を寄せてこないといけないのだけど、なんだかうまくダブルダイノにならない。
他のセクターを見に行きたかったこともあって、ちょっと早めに切り上げた。
最後のトライで左手が入りかけたので、次は止まるか・・・?

一番大きなArrastraderoというセクターへ移動。
Albarracinのハードな課題はだいたいここかTechosに集中している。
El Varano(7c+/8a)をやろうかと思っていたけど、高いルーフで怖いので、
他にやっている人がいるEsperanza(8b)をやることにした。
スタンドはスローぴーな6c
スタンドはマントルでちょっと迷いながら一撃して、早速SDをトライ。
これがまぁ、とにかく悪い。
「こんなの持つんかい」という感じのスローパーエッジ地獄をこなしてから、
スタンドにつなげるところで凄い態勢の肩力全開ムーヴ、という感じ。
今回は前半の地獄パートを抜けられず。
まぁシーズンは始まったばかりだし、気長にやりますか。
暗くなる前にArrastraderoのハードな課題を見て回って終了。
ここはTechosと違ってフェースやカンテが多め。
Zartaco(8a+)

Quimera (8b)

指皮はそんなに減っていないけれど、体の他の部分が疲れている感じがあった。
エドゥは「そこがいいんだ」と言っていた。

Albarracinは目標になりそうなハードな既成課題が山のようにある上に、
まだ発展途上のエリアなので新しい課題がどんどん出来ているところでもある。
つい最近も新しい8b+が初登されたんだとか。
機会があるかどうか分からないけど、開拓者精神がうずきます。

今回のわんちゃん
Cosmosのトライの合間に散歩していたら出くわした。
遊んでほしそうにしていたので松ぼっくりを投げてやったら大喜び。
ただ、拾って持ってくるのはいいけど一向に渡してくれない。
他の松ぼっくりを投げるとそっちを追う。
次から次へ投げていて、気付いたらこんなことに。
なにがしたいんだお前。

2014年11月4日火曜日

El Escorial

このところ、セメスターが半分を過ぎたせいか学校の方が忙しい。
やっているグループワークに追われ、どうも落ち着かないし登りにも行けない。
先々週はイバンたちとAlbarracinに行く予定だったのに、
翌週にプレゼンが迫っていたのでグループで打ち合わせをすることになってしまい断念。
ああ、どんどん遠のくAlbarracin・・・折角トポ勝ったのに。
まぁ留学なのだから学業を優先するのは当然なのですが。

この週末は完全にパートナー難民。
件のグループワークも周りのペースが速いので知らぬ間に置いていかれる。
一番の原因はうまくコミュニケーションが取れないせいだけど。
平日は一日ジムに行っただけで、土曜日は家で腐っていた。
これじゃダメだ、気持ちがもたない。
そう思ったので、昨日は一人で岩に行ってみることにした。

行ったのはEl Escorialというエリア。
前に行ったZarzarejoから見えた山の裏側にあるエリアで、こちらは森の中。
駅からエリアまで結構あるようなので、輪行作戦で行くことに。
こちらの電車は自転車の持ち込みが自由、しかも梱包の必要がない。
更に新しい車両には自転車置き場が作ってある。
日本にもこういうのあればいいのに

ちょっと寝坊して出発、El Escorialの駅に着いたのが11時半くらい。
エリアのある公園の入り口までは自転車で20分かからないくらいだった。
が、ここからがずっと坂。カーブの多い急な坂でしんどいったらない。
Silla de Feripe II(フェリペ2世の椅子)とかいうところまで上がったら、今度は下り。
いくつかセクターが分かれていて、今回はネットにトポがあったCetaceosというセクターに行った。
どうやらここは王家に所縁のあるところらしい。
観光客も多かった。

週末だしクライマーがいるだろうと思って行ったら、1パーティーだけ。
その人たちも早々にどこかへ行ってしまって完全に一人だった。
完全に貸切なのはいいけど、なんだか淋しい。
課題はネットで調べたやつしか分からないので、その辺で適当にアップする。
6a+が2本あった岩

パッドはなく、あるのはペラペラのテントマットだけ。心もとない。
No Mat Styleというと聞こえはいいけど、単に持ってないだけです。
ケガをするわけにいかないので、高い課題はパスして低めの7台を探す。
Moby Dickという7b/+があったので、それをやってみる。
動画から取り出したので画像が荒い
時折ぱらぱらくるくらいの天気だったので、涼しいけどヌメる。
結局写真の1手が止まらず敗退。
もしかしたらムーヴが違うかも。
近くにあったEl Cachalote(7b+/c)もやってみたけど、完全一手もので「???」。
雨もいつ本降りになるのか分からないので、さっさと次の課題。
Massive Attackという8a+のある岩が高さも下地もちょうどいいのでそこにする。
一番簡単なEl Fletychety(7b)をやったらあっさり2撃。
El Fletychety
これはえらく簡単。ブローだったら7aくらいかも。
次にやったのがControl Machete(7c/+)。
直登がControl Machete、右に行くのがMassive Attack
1手目(写真)がとにかく悪い。ヌメるし、止まる感じがない。
それでも高速タッチからなんとか止まりそうな兆しが出てきたところで、ついに本降り。
慌ててハングの下に逃げ込んで雨宿りしたら、5分くらいして止んだ。
でも岩はびしょ濡れになったので、撤収。

帰りにフェリペ2世の椅子に寄ったら、El Escorialの大修道院が見えた。
この修道院はもちろん花崗岩でできてます
行く時がしんどかった分、帰りはひたすら下りで気持ちよかった。

コンディションは悪いし天気が崩れてあまり登れなかったけど、
とにかく自分一人でも行ける岩場があることは確認できたので、今回はそれが収穫。
電車代は往復8ユーロだし、これはこれでありです。
片道3時間くらいかかるのがネックだけど。

ただ、パートナーがいるときはいいけど、一人だと出来ることが限られる。
高いけど、やっぱりパッド買おうかなぁ。
悩むところです。