2013年5月21日火曜日

開拓日和その2

日曜日はサル左衛門と二人で瑞牆へ。
朝、二人とも寝坊したのでゆっくり向かいました。

思っていたより涼しかった。
迷わず開拓エリアへ。
サル左衛門がアップもなしにいきなり奥まで行くので、
「いいのかいなー」と思いつつもついていく。
で、エリアに着いていきなり新しい岩の掃除を始めるサル左衛門。
「乾いてるから苔がガンガン落ちる~♪」と上機嫌。
こちらが岩探しをしている間に新しいラインを2本登っていた。
仕事が早すぎてかないません。
これは新しい1級。僕もやりましたが、アップなしだったのでぽろぽろ落ちました。
自分も新しいラインを見つけて掃除。
あー、眼鏡で来ればよかった・・・
コンタクトで掃除をすると目にゴミが入って、下手したら死活問題です。
掃除したラインは高さがそこそこあって、ロープがないと全部は無理だったのでまたの機会に。
「ベシミ」のすぐ上にあるフェースもちゃちゃっと掃除して、易しい課題を2本登った。
これはDK氏が前に掃除していたらしいので、初登ではないのかな。
両方とも4級くらい。

アップを終わりにして、「ハレ」にトライ。
前回よりも感触は良くて、スタートのピンチが持てている気がする。
何回かぴょんぴょんして、やっと跳ぶ先のホールドに指が掛るようになった。
最終的に若干振られに入るくらいまでは伸びた。
まぁ、ここからが本当に悪い部分なんだろうけど。
二手目以降はいいシークエンスを発見して随分確実になった。
前回怖くて返せなかったマントルも思い切ってやると大したことないことが判明。
あとは一手目だけか・・・
気が早いけど、早く秋にならないかな。

サル左衛門はエリアの最強Pを掃除してトライしていた。

アサギマダラよりも難しいらしい。
これは数年越しの課題になりそう。

レスト中にはこんなものを採ってきた。
さすが地質屋、嗅覚が違う。

次回はそろそろ弁天のプロジェクトに行きたいな。

2013年5月20日月曜日

開拓日和

土曜日は、最近身内でホットな遠山川の山エリアへ。

エリアまでの道が、今までに行ったどの岩場よりも怖い。
だって、これですもん。
転がってきて、金網を突き破ったようです。ひえー。
行く人はくれぐれもご注意を。

僕は今回が初めてなので、上流から下りながら登った。
最初に行ったのが、エリアの一番上にある岩。

丁度いいくらいのサイズ。ホールドも沢山あって、大体綺麗だった。
ハング左端のアンダーからSDでリップをトラバースするラインはすぐに登れた。
「ダートライダー」(2級)かな。
で、すぐに右の被ったラインにトライ。
初段くらいかと思っていたら、これがかなり悪くて一手目からいきなり出来ない。
予定よりも一手上からギリギリSDで浮いて、
そこから地味だけど疲れる3手をこなしてリップ、という感じ。
結局それぞれのムーヴはバラせたけど、暑すぎるのでそこまでにした。
それにしても暑い。夏みたい。

もうちょっと下流のエリアに移動して、タローさんの「クリシュナ」(初段)へ。
ぐちゃぐちゃしたルーフに掛りのいいホールドがぼこぼこあって奇妙な感じ。
見た目で脆いかと思ったら、意外に磨かれていて安心。
リップを取るまでずっと気が抜けないムーヴが続いて、
ルーフを出たところのムーヴにちょっとハマった。
自然に帰りつつあったホールドを見つけて、解決したので繋げ。
上部で1回ヨレ落ちして、その後ルーフ内のムーヴを煮詰めたら登れた。
初段にしては悪く感じたけど、ルーフが苦手なだけか?
ムーヴがあって面白い課題でした。

次は真ん中のエリアにある「鳥人」(1級)へ。
これはフェースのホールドを使う2級バージョン
ランジの1級バージョンは2メートル弱の距離があって、かなりの運動系ランジ。
でかいスタンスが幾つもあるので、どれを蹴るか迷ったけど、
結局自分に合った跳び方をすればいいんだなということが分かって、10回くらいで止まった。
隣にある「アマルガム」のルーフはかなり悪そうなので見学しただけでスルー。

最後に一番下のルーフPのあるエリアへ。
 ルーフPは見るからに次元が違いそうなので触らず。
近くを見て回って、「水切り」(3級)と「おじさんの再来」(二段)をやった。
水切り

おじさんの再来。小さい!
「水切り」はすぐに出来たけど、おじさんは思った以上に話にならなかった。
引きつけ過ぎて右手首が痛くなった。
後でサル左衛門にムーヴを確認したものの、出来る気は未だにしません。

夏みたいな暑さだったけど、知らないエリアはやっぱり楽しい。
新緑も綺麗でした。
岩はそれほど多くないけど、ハードな課題がゴロゴロあっていいところです。


2013年5月15日水曜日

温故知新 5/7,8,9

6日の夜に一度実家に帰って、翌朝再び単身瑞牆へ。

チップの駐車場に集合して、この日は大面岩へ行った。
スギノさんとパーティーを組んで登ることに。
登るルートは「自由登攀旅行」(5.13b)。
ひえー、いきなりハードですよ内藤さん!
でも、こういう機会でもないとなかなかトライできないので、やることに。

アップ無しでスギノさんが1P目(5.12a)をリード・・・
と、核心がやけに難しいらしく落ちてきた。
フォローした僕も全く同じところで落ちた。
これは手順があるらしく、初見で登るのは難しい。
1P目からこれかー・・・と先が不安になる。

ともあれ、5月とは思えない寒さでコンディションは上々。
指が悴んでまた感覚が戻ってきたのでアップ完了と見て、
撮影部隊がスタンバイするのを待って2P目(5.13b)にトライ。
花崗岩の5.13は久しぶりなのでかなり緊張。
が、傾斜がなくてパンプしないのをいいことにガンガン突っ込んでみると、
いつの間にか核心だと聞いていた辺りを越えた。
「あれ?」と思いながら小さいレストポイントを離れて進むと、
ラインを間違えて呆気なく落ちた。
ラインを取りなおして、二つ目の核心に差し掛かったところでまた落ちて、
結局合計2テンで抜けた。
全体的に微妙な立ちこみが多く、足の力で登っていける感じ。
この日撮影部隊の黒ひげさんらから「えらく安定して見えたけど」とコメントをもらって、
「もしかしたらこういうのが得意になったのかも」と内心にんまり。

そうなると、3P目はOSを狙いたくなる。
でもそう甘くはなく、核心の始まりでムーヴが分からずポロリ。
2回くらいくらいテンションして核心を抜け、
その先のデリケートなスラブでまた3回落ちて、結局5テン。
撮影したいのはこのピッチまでということなので、ここからロア―ダウンした。
すると、「ムーヴをずっと見ていた」らしいスギノさんがこれをフラッシュ。
わー、凄い!
ビレイしながらだったけれど、凄いものを見た。
ガメラさんが「バケモノだね」と漏らしていた。

この日はこれで終了。
「自由登攀旅行」は噂が独り歩きして、
凄まじく難しく近寄りがたいルートになっていたけど、
実際は十分可能でかなり楽しめるルートだった。
ラインも岩もいいし、またトライして今度はしっかり登りたい。

買い物に行ってきて、ベースの巨大テントで黒ひげさんと二人あれこれ語らった。
パタゴニアやヨセミテのことをいろいろ聞かせてもらって、
ありきたりだけど、世界は広いと思った。
そしてこの山のクライミングが世界に通じていることも分かった。


5/8、この日は内藤さんの案内で小面岩と御祝儀岩に行った。
小面岩に新しいクラックがあるというので、まずそれをやりに行く。
駐車場から1時間ちょっとで到着。
途中、近くのピナクル(通称佐久間の塔)から大面の壁が見下ろせた。
凄い岩だ。
新しいクラックは「ポセイドン」(5.11a)、「ロプロス」(5.11c)、「ロデム」(5.12a)の3本。
スギノさんが「ロプロス」を華麗にOSして、僕も続いてトライ。
出だしのワイド(10ノーマルくらい)で必死になってズリズリして、
中間部のレストポイントを挟んで本題のシンハンドクラックへ。
ところどころタイトなハンドが効くものの、あとはひたすら微妙なシンハンドでひやひやした。
手の甲をズタズタにされて、腕はパンパン。
ゼーハー言いながらなんとかフラッシュ出来た。
足場さんに撮ってもらった写真はカッコよかったけど、登りは汚かったです。


「ロデム」もOSして、スギノさんは颯爽とお帰りになった。
格が違うなー。
因みに左のクラックが「ロプロス」です。

その後「ポセイドン」を気持ちよくフラッシュして、
内藤さん・ナガトさんと3人で御祝儀岩へ。
アプローチが荒れていてなかなか見つからず、1時間くらい迷ってやっと発見。
歩きまわる体力があってよかったー。
さっさと準備して、綺麗なスラブを辿る「シルバーフリーウェイ」(5.10c 3P)を登る。
グラウンドアップで拓かれたルートなので、とにかくボルトが遠い。
錆びたRCCが目の前に1本、その遥か上にポツン。
あとは脆そうなフレークにスモールカムを噛ませて登る。
こんな感じでかなり強面だったものの、
内容は典型的なスラブで、フリクションもいいので気持ちよく登れた。
ほど良い緊張感がずっとあってGood。
実はこれ、内藤さんが初めて開拓したルートだったらしい。
丁度僕と同じ歳の頃に来て、手探りでボルトを打ったのだという。
当時の開拓精神は凄かったんだな。
いろいろなことを感じるルートだった。

テントに帰り、内藤さんが気合を入れて米を10合炊いてくれたのでいただいた。
カレーが美味しかったおかげで存分に食べられ、
3合は軽く食べていたらしい。
黒ひげさんやナガトさんは半分呆れていた。
「食って勝つ」って、そりゃあ今の時代の流れではないよな。
いや、僕はそれでいくつもりですが。

5/9、この日はトキオさんの案内で不動沢のトラッドルートの撮影に行った。
狙うのは「クリティカルパス」(5.12b R/X)。
前日に飲みながら黒ひげさんに恐ろしい話を聞いてしまい、
それでも話の流れで「登ります」と言ってしまったので、トライすることに。
前から興味があったルートだから構いませんけどね。
この日は寒気が抜けた後で、前日までと打って変わって暑いくらいだった。
「壁に日が当たっているうちに」ということで、トキオさんがアップも無しに1撃。
リピートとはいえ、こういうルートをスイスイ登るとは流石です。
隣ではヤザキさんらが僕の「ヒコーキ雲の消える先」(5.11b)を登っていた。

最初は5.11aとつけたけれど、難しいようなので5.11bということで落ち着いた。
裏から回ってトップロープを張り、リハーサル。
いざやってみると、凄く面白い。
岩は硬く、ホールドが適度にあって上手く繋がっている。
ムーヴを結構多彩だった。
やっているうちにどうにも楽しくなってしまい、
「無理はしませんから」と言いつつムーヴを固めてすぐにリードの態勢に入る。
プロテクションをいくつかトキオさんから拝借していざトライ。

出だしにいきなりボルダーセクションがあり、そこがムーヴの核心。
ボルダーにすると3級程度だけど、足が悪いデッドで嫌な感じ。
これを安定して止めて、いい具合にスイッチが入った。
大きなガバでレストして、そこからが精神的な核心。
青と黒のハイブリッドエイリアンを足下にして微妙なムーヴが続く。
ここは流石に怖くて声が出た。
一番怖いセクションをこなしてマスターカムの黄色を固め取りして、
その後は簡単だけどランナウトするトラバースをこなしてハンドクラックを取って終了。
こういうボールドなクライミングは久しぶりだった。
改めて、トラッドクライミングが面白くなった。
スポートルートのオンサイトとは違う、
何度も練習したムーヴをシビアな状況でこなすクライミング。
体を完璧にコントロールする必要があって、その感覚が凄く気持ちいい。
クセになりそうだ。
黒い壁の浅いクラックを登るのがクリティカルパス

この日はこの1本だけでお腹一杯。
これで5日分の疲れが出たのか、荷物をまとめていると欠伸が出た。
足場さんが笑っていた。

夕飯をまたいただいて、眠気を飛ばすためにひたすら歌いながら運転して帰った。


今回、日本を代表する「コアな」クライマーの方々と登り、話して、
初めてのルートを沢山触ってみて、いろいろと発見があった。
苦手意識があった緩傾斜のルートが得意に変わりつつあること、
瑞牆山の秘めている新しい可能性、
開拓することとそのスタイル、云々。
古き良きルートと、時代の最先端を行くルートの両方を登ったことも面白かった。

何より、憧れていた人たちと一緒に登っていることが、
僕にとっては夢のような時間でした。


by WADE

2013年5月14日火曜日

温故知新 5/5,6

さて、例年より長かったGWのことでも書こうかな。
ひたすら瑞牆ですが。

5/5に大ザル、サル左衛門と瑞牆入り。
この日はサル左衛門の希望で開拓中のエリアに行った。
エリア手前の岩で軽くアップして、入り口の大ハングへ。
サル左衛門がハングを掃除している間、
こちらは近くの「思う壺」(初段)をやってみる。
と、これがあっさりOSできた。

思わぬ成果にウハウハ。いや、ウホウホ。
それにしてもこの課題はスタートホールドが凄い。
こんな深いポケット、見たことない。
丁度サル左衛門がトライを始めるようだったので、便乗。
個人的に苦手な傾斜で、サル左衛門のムーヴは出来る気配がないので他を探ることに。
あれこれ試していると、新しい楽なムーヴを発見。
サル左衛門が予定していたシャレオツなトウフック駆使ムーヴは却下となった。
してやったり。
でも、そのムーヴが分かるとサル左衛門があっさり初登をさらっていった。
してやられたり。

「In Bloom」(三段)だそうです。
僕は自分で見つけたムーヴに繋げるところが出来ずに敗退。
体を軽くしないとなぁ。

上に移動して、まずは宿題だった「青い日」(二段)。
これは数回で登れた。

続いて本題の「ハレ」(四段)。
スタートのピンチで左手の親指をゴリゴリ削りながら、
ひたすら1手目の果てしなく遠いランジをやった。
20回くらいぴょんぴょんしたら親指に穴が開いて、
テーピングがなかったので1手目は結局タッチまでで諦める。
でもそのまま帰るのも勿体ないので、2手目から先をやってみる。
2手目もランジで、結局足で誤魔化して中継してからのダブルダイノで解決。
その先はマントルがちょっと悪いことを確認した程度で終了。
ランジを鍛えてまた秋にやろう。


最後に大ザルがやっていた若干脆いハングを登ってキャンプ場に帰った。

5/6からは内藤さん主催の某合宿に参加。
この日は大ザルとガメラさんと不動沢へ撮影に行った。

いきなり数年前に1ピッチ目だけテン山で抜けた「隠し金探し」(5.11c 3P)をアップ無しでやる。
晴れが続いたおかげで、いつも濡れている出だしがカラカラに乾いていた。
とはいえグレードとおぼろげな印象に不安を感じつつ、トライ開始。
そうしたら、中間部の浅いクラックで多少ビビったものの問題なく登れた。
誰に聞いても「あれは辛い」というので、
「これはOSをとっておけばよかったなー」と少しだけ後悔。
大ザル(初登者)がフォローしてきて、2ピッチ目以降も僕がリードすることに。
2ピッチ目はマントル連発のスラブ~ちょっと汚いコーナー。
スラブは快適だったけれど、コーナーが嫌らしく、
クラックは閉じているし、なんだか汚れてじゃりじゃりしているしで、
結構必死になって抜けた。
変形チムニーみたいな登りで抜けるらしい。
3ピッチ目がルート名の由来で、中に何か隠せそうな大穴があった。
岩質が岩質なので、「ホテル二子」よりも感動した。
凄い勢いでランナウトしながら易しいスラブを登って、楽しいピッチだった。

下りてきてから時間があったので、もう一本クラシックを登りにいくことに。
ルートは「未来の舞」(5.11d)。
不動滝手前の長いスラブ。
「スラブの5.11かー、これは怖いなー」と思いつつ、久しぶりにTCProを履いてみた。
するとこれが思ったよりも感触がよく、
最後の核心手前まではスイスイOS。
最後の最後にあるマントルが核心で、ここで落ちた。
これでフィックスを張って、ガメラさんにスタンバイしてもらってからの2回目で登れた。
つるつるのどスラブをイメージしていたけれど、
実際はスタンスもホールドも意外とはっきりしていて、
核心以外はなかなか快適で面白かった。
あまり人が取りついていないようでスラブ全体が埃っぽくなっていたけど、
これは皆さんおすすめです。

この日はこの2本を登って終了。
夜にコアなクライマーだらけの宴会に参加して、
いろいろと面白い話を聞いて帰宅。

翌日からもまた、単身瑞牆で内藤合宿に参加することになる。

つづく